女優木下あかり(24)が16日、東京国立近代美術館フィルムセンターで開幕した自主製作映画の祭典「第39回PFFぴあフィルムフェスティバル」で行われた映画「あゝ、荒野」(岸善幸監督、前篇10月7日、後篇同21日公開)世界初前後篇一気見上映トークイベントに登壇した。

 木下は劇中で、菅田将暉(24)演じる主人公沢村新次を愛する曽根芳子を演じた。「台本を読んで、芳子が入ってきたような感覚になったのが、新次に家族のことを話したシーン」と明かした。すると岸監督は、そのシーンについて「(劇中に)ぬれ場が多い。そのシーンも、ぬれ場の後。(これまでの作品でも)ぬれ場をたくさんやっているんですけど…苦手なんです。菅田君と体位のことを相談した。それをどう木下さんに伝えるか…。微妙に感情が違うように演出するけれど、いろいろな緊張で胸が張り裂けそうだった」と説明した。

 木下にとって、今作が長編映画初出演だったが、撮影初日が、いきなりぬれ場だったという。木下は「1番ハードなぬれ場のシーンが初日で、菅田君と『初めまして』と言って、すぐ裸…。全てさらけ出しているので、やるしかなかった」と苦笑した。

 「あゝ、荒野」は、劇作家・寺山修司氏(享年47)唯一の長編となった同名小説を、菅田と韓国の俳優で映画監督のヤン・イクチュン(41)の主演で、2部作で実写映画化した。東京五輪後を終えた2021年の新宿を舞台に、新次(菅田)とバリカンこと二木健二(ヤン)が、トレーナーの片目こと堀口(ユースケ・サンタマリア)とプロボクサーを目指す物語。

 原作の寺山氏は、「PFFぴあフィルムフェスティバル」と縁があり、第1回(呼称は「第1回ぴあ展1977」)で監督作品の「檻」が上映されたほか、その後に同氏が最終審査員を務めたこともあった。

 この日は、スケジュールの都合で登壇できなかった菅田とヤンからビデオメッセージも届いた。ヤンが「俺たちの映画を見る人が、世界で1番の人じゃない?」とスクリーンから客席に日本語で呼び掛けると、菅田も「1番だ!」と笑みを浮かべた。岸監督は菅田とヤンの仲の良さについて「ボクシングのシーンはピリピリしていましたが、ヤンさんが意外と日本語が理解できるので、いい関係でした」と語った。【村上幸将】