映画「キル・ビル」(2003年)の主演女優ユマ・サーマン(47)がニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、クエンティン・タランティーノ監督(54)のせいで同映画の撮影中に負傷したとして非難。一方、タランティーノ監督も同事故について、「人生最大の後悔」と振り返り、注目を集めている。

 サーマンは同インタビューで、「キル・ビル」の撮影中に、同監督から車の運転シーンを自分で演じるよう強制された結果、永久的なケガを負ったことを告白。車がヤシの木に衝突し、ケガを負ったサーマンは現在も、首や膝の不具合に苦しんでいるという。サーマンは、15年かかって入手したという事故当時の映像も同紙で公開した。

 サーマンは同紙に、「私と監督は、監督が事故当時の映像を見せなかったため、2004年にニューヨークで怒鳴り合いの大ゲンカをした。事故から15年後、やっと映像をもらうことができた」と語った。

 これに対し、タランティーノ監督は5日、米映画情報サイト「デッドライン」のインタビューで、「彼女を車に乗せた罪は自分にある。だが、人々が言っている意味の罪ではない。彼女にあのスタントをやらせたことは、人生最大の後悔だ」と語った。

 サーマンは、「タランティーノ監督に何度もスタントマンを使って欲しいと頼んだが、聞き入れてもらえなかった」としているが、同監督はこれについて、「現場の誰もが、そのシーンをスタントではなく、簡単な運転シーンと見ていた。しかし、撮影ルートを変更した後、道路の再確認を怠ったことが事故の原因となった」と説明した。

 タランティーノ監督によると、この事件により、その後2、3年間は2人の関係に大きな亀裂が入ったという。「お互いに話をしなかったわけではないが、1年間の撮影の後、信頼関係は壊れた」と語っている。(ニューヨーク=鹿目直子)