A.B.C-Z塚田僚一(31)の「控えめ」な一面を見た。初主演映画「ラスト・ホールド!」(5月12日公開、真壁幸紀監督)の完成披露イベント取材でのことだ。

 「あの塚ちゃんが控えめだって?」

 塚田のキャラクターを知るファンからすれば、信じられないかもしれない。そう。彼はいつも明朗快活、グングン前に出て発言していくタイプ。10年近い下積み生活を感じさせない、底抜けの明るい性格で愛される存在だ。

 実際、舞台あいさつでは自分を指さして「初主演でーす!」とアピールしたり、大声ではしゃぎすぎて、後輩のSnow Man宮舘涼太(25)から「先輩だけど…塚ちゃん、うるさい」と注意されて頭をかく、おちゃめな場面もあった。

 「控えめ」だったのは、本番前に報道陣を集めて行われた囲み取材でのことだった。もちろん初主演映画だから、座長としてしっかり映画のアピールもした。しかし、この日の塚田は、Snow Manのメンバーのコメントに「彼は寡黙というか、クールだけどおもしろい」とか、「彼が得意な、『すげえ』というところで終わる場面がある」と、後輩の頑張りや、作品の良さをうまく引きだそうとしているように見えた。サッカーにたとえれば、自ら点を取りに行くストライカーではなく、広い視野でパスワークの中心になる司令塔のような役割だ。

 映画は20年東京五輪の追加競技に決まった、スポーツクライミングのボルダリングを題材にしている。塚田のことだ。東京五輪についても、色気のある発言が出るに違いないと予想していた。実際、報道陣から「五輪の予選に出たい気持ちはあるか?」という質問が飛んだ。真っ先に塚田が答えると思ったが、もくろみは外れた。その質問にだけは、Snow Manの面々に発言を任せ、なかなか輪の中に入ろうとしなかった。

 最後に別の報道陣から「塚田さん、日本代表を狙う気持ちはありますか?」と再び質問された。「いけます!」とだけ、短く答えた。それもまた、塚田の「控えめさ」に見えた。体を鍛え、アクロバットを得意とする体育会系の塚田だけに、五輪を目指している人の真剣さを、同じアスリート目線で見て、軽々しく発言すべきではないと考えたのだろうか。記者の推測でしかないが、もしそうだとしたら、苦労人らしい気づかい。また取材する機会があったら、聞いてみたいと思う。