2012年に48歳の若さで急死した米歌手ホイットニー・ヒューストンさんが、子供時代にいとこの歌手ディーディー・ワーウィックから性的虐待を受けていたことが、半生を描いたドキュメンタリー映画「ホイットニー」で明らかになった。

 南仏カンヌで開催中の第71回カンヌ国際映画祭でお披露目された同作で、ヒューストンさんのアシスタントを務めていたメアリー・ジョーンズさんがヒューストンさん自身から生前打ち明けられていたと告白。また、異父兄のゲーリー・ガーランド氏も映画の中で同様の告白をしており、ヒューストンさんが抱えていた薬物依存や恋愛面での問題を知る手がかりの一つとして明かされている。

 ジョーンズさんは、コカインや大麻、処方薬の過剰摂取でビバリーヒルズのホテルの浴槽にうつぶせになっていた亡くなっているヒューストンさんを最初に見つけた第一発見者でもある。

 同作は、1972年のミュンヘン五輪事件に迫るドキュメンタリー映画「ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実」(99年)でアカデミー賞を受賞しているケビン・マクドナルド監督がヒューストンさんの家族の協力を得て制作したもので、ヒューストンさんの悲劇的な人生に迫る作品。歌手ボビー・ブラウンとの波乱に満ちた結婚生活や薬物乱用、かねてからうわさのあった両性愛者の一面なども描かれた衝撃の内容になっている。「(ジョーンズさんは)この告白がホイットニーを理解する上で非常に重要なことだと思っていたが、公になることを恐れてもいた」と同監督は語っている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)