上方落語協会の第7代会長に笑福亭仁智(65)が就任し、大阪市北区の天満宮会館で31日、第6代会長の桂文枝(74)とともに会見を行った。4月26日に行われた会長候補選挙で仁智が新会長に選出。31日午前に同会の定時総会と理事会が行われ、就任が正式決定した。

 まずは旧会長の文枝が退任のあいさつ。「当初は会長になるつもりはなかったが、このままでは上方落語がダメになっていくような気がする」と就任を決めた当時を振り返った。

 定席の小屋が無く「『大阪行ったらどこで落語やっているんですか? 』という声が多かった」と話し、戦後初の上方定席「天満天神繁昌亭」をオープンさせた。

 「ちょうちんの数で分かるように、皆さんに助けていただいてあの劇場ができました」と感謝。「いろんな先輩が頑張っていただいて、ソフトを残していただいたから、今度は我々がハードを作る番だ、という気持ちで今までやってきた」と、戦後、数人でスタートした上方落語の発展に貢献した故桂米朝さんら、偉大な先輩への思いも述べた。

 また、仁智新会長に対しては、「真面目で熱心。すごく決断力、判断力にたけている。彼になって本当に良かった」。現在の心境には一言で「“じんち”を尽くして、天命を待つ」と表現。今後については「(仁智から)サポートして欲しいと言われたが、気を使わせたくない」との理由で、役職の要請を固辞したことを明かし、上方落語協会では無役となる。

 一方で、以前から就任を打診されていた、7月に開館する「神戸新開地 喜楽館」の名誉館長については就任する意向だ。

 続いて新会長の仁智があいさつ。「『(文枝が)かなり突き進んできた』とおっしゃっていた。(自分は)少しぼちぼち歩きながら、今まで走ってちょっと見過ごしてきたようなことを手当てできたら。そして、次の担い手の方々に、タスキをうまく渡せればいいなと思っている」と決意を語った。

 この日の総会には会長選挙直後に、文枝から「おめでとう」とプレゼントされたネクタイをつけて臨んだと話し、「(文枝は)気を使わせないと言っていたが、それをつけるとなんか息苦しい」と冗談を飛ばし、笑いを誘っていた。

 また、師匠である笑福亭仁鶴(81)には選挙当日に、結果の報告と相談に行ったといい、就任の意向を伝えると仁鶴は「そうしたらええ」と返事をもらったといい「大きく変えるようなことはせんと、ぼちぼちやんなはれ」と師匠らしいアドバイスを受けたことを明かした。