俳優向井理(36)が23日、都内で、主演するNHK「太陽を愛したひと~1964あの日のパラリンピック」(8月22日午後10時)の会見に共演の志尊淳と出席した。1964年の東京パラリンピックを成功に導き、その後も障害者の自立と社会復帰に一生をささげた伝説の医師中村裕さんの人生を描く。

 向井は「実在の人を演じるのはプレッシャーが大きいし、実際に会った人もいる。でも、まずは中村先生が生きた時代と信念とエッセンスをどれだけ表現できるかを考えて演じました」とあいさつした。また「すごい好きなせりふがいくつかあって、台本を読んで泣きそうになるようなシーンがたくさんあった。泣くのをこらえながらやったことを覚えています」と紹介した。

 中村さんは障害者の人に手を差し伸べるとか、かわいそうだという気持ちで向き合っていたわけではなく、障害者の方の自立を考えた人。向井は「障害者の方と同じ目線に立っていた。だから人の共感を得たと思う。こういう人がいたから今のパラリンピックにつながっている」と語った。

 障害者を演じた志尊は「中村さんのような人がいて、今があることを同世代の人に伝えたい。車椅子に乗って動いてみたら、道が整備されているかいないか、扉の幅などが重要なことと気付いた」と語った。また、移動中、車のタイヤが田んぼにはまり、ロケ現場まで4キロ歩いて行ったエピソードも紹介した。