商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、西宮神社(兵庫県西宮市)で10日、本殿参拝の一番乗りを競う恒例の「開門神事福男選び」があり、同市出身の吉本のピン芸人、伊丹祐貴(30)が「二番福」になった。昨年の「M-1グランプリ2018」で優勝した「霜降り明星」の粗品(26)とは同期で親友。同神社によると「タレントさんの福男はおそらく初めて」という。「一番福」は広島県福山市の消防士、山本優希さん(22)、三番福は兵庫県加古川市の玉暉(たまき)活也さん(23)だった。

10日午前6時、大太鼓の音が鳴り響き表大門が開かれると、伊丹が勢いよく飛び出した。3回目の挑戦で先頭グループ108人を決めるくじ引きに初めて参加した。約1500人中、くじ番号は「4」。最前列からスタートダッシュを決め「一番福」の山本さんから少し遅れて、本殿に駆け込んだ。「こんなに多くの報道陣に囲まれたのは芸人になって初めて」と笑わせ、副賞の1俵入り米俵を高々と持ち上げた。

大学3年のときに吉本総合芸能学院(NSC)に33期生として入学し、芸歴8年目。昨年の「M-1グランプリ2018」で優勝した「霜降り明星」の粗品(26)とは同期で親友。7日の粗品の誕生日パーティーにも参加し「福男取ってくるわ」と宣言した。

神戸市立科学技術高では陸上部に所属。400メートルリレーでインターハイに出場経験があり、50メートルの持ちタイムは6秒1。M-1王者にも負けない強運ぶり、健脚を発揮した伊丹は「お母ちゃんと粗品に一番に喜びを伝えたいですね」。

昨年は芸人として苦難の年だった。「ファイトクラブ」というコンビを組んでいたが昨夏に解散。名前をもじって「だれが羽田や、成田ちゃうで、伊丹やで!」の持ちネタはあるが、ピン芸人として「仕事はゼロ」になり、先月はついに「収入もゼロ」になった。高級食パン専門店「乃が美」で食パンを作るアルバイトで生計を立てている。「芸人なので、みなさんに福と笑いを届けたい」。芸人初の福男が19年を転機にする。【松浦隆司】