宝塚歌劇の星組「霧深きエルベのほとり」新人公演が22日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、5年目の100期生、極美慎(きわみ・しん)が、2度目の主演を務めた。

「今、自分にできる精いっぱいの舞台を、させていただきました」

泣き、笑う主人公を情感たっぷりに演じきり、終演後には端正なマスクを緩ませた。

今作は、芝居巧者の星組トップ紅(くれない)ゆずるの主演作で、この日は、入団7年目以下の若手による新人公演。極美は、身分違いの恋をし、相手の幸せを願い身を引く主人公の船乗りを演じて、2度目のセンターに立った。

「本当の優しさは、強い自分がなければならないと思いました」

幼稚園から中2まで空手に熱中していた異色スターは、役作りに励むうち、人間の幸せと、その本質についても考えたという。

「もっともっと、自分自身が深い人間にならないといけない。もっといろんな物事に関わって、いろんな経験をしていきたい。今回の舞台は、すごく勉強になりました」と言い、次回以降の舞台への糧にもする覚悟を示していた。

相手役は極美の2年後輩、3年目の水乃ゆりが務め、新人初ヒロイン。水乃は「課題もたくさん見つかりましたので、次の東京公演に向けて、さらに深め、心を動かせるような芝居をできるようにしたい」。

極美が悩んだ「幸せ」については「私は今、極美さんのお隣にいられるだけで、幸せです」と言い、極美を苦笑させていた。

東京宝塚劇場での新人公演は2月28日に行われる。