新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月29日~3月8日までの公演を中止していた宝塚歌劇団は9日、兵庫・宝塚大劇場で、星組公演「眩耀(げんよう)の谷~舞い降りた新星~」「Ray-星の光線-」の千秋楽公演を開演し、劇場公演を再開した。

劇場入り口では、スタッフが消毒液を手に、入場客に吹きかけ、場内複数箇所にも消毒液を設置。37度5分以上の発熱がある人には観覧自粛を求めており、赤外線サーモグラフィーによる検温も行われた。

劇場敷地内には、人気スターのグッズを販売する「キャトルレーヴ」もあるが、この日は、開演2時間前の午前11時に閉店。当日券の販売もなく、これら一連の対応は、劇団の公式ホームページに、再開にあたっての注意事項として告知されており、大きな混乱はなかったが、ファンでにぎわう劇場内の普段の空気とは一変。劇場内では、飲食店の営業も控えられた。

今公演は、星組の礼真琴、舞空瞳の新トップコンビの本拠お披露目で、専科スター華形ひかるらの退団公演でもある。2月7日に初日を迎えていたが、28日公演を最後に中断。千秋楽のこの日から再開となった。

礼と、その同期で人気スター瀬央ゆりあのファンだという宝塚市在住の親子は、公演が中止になる前に3回観劇したといい「2月はマスク率が低かった。周りはせきをしていなかった」と振り返った。

この日のチケットをたまたま持っており、礼のファンだという東京在住の40代の女性は、公演再開に「うれしい」と喜んだが、全国の劇場で中止が継続する中での上演に「他を見られない人もいると思うし、どこまで制限をかけたらウイルスが収まるか分からないし、複雑」と心境を語った。礼には「お体に気をつけて」とメッセージを送った。

劇団はホームページで9~26日の当日券の発売を中止を告知していたが、通常なら販売される当日券を求めてやって来たファンの姿もあった。

兵庫・芦屋市在住の60代女性は「3月1~8日のうち、2枚のチケットを持っていたけど…」と話し、公演再開には多少の疑問の思いも吐露。「(華形の)退団だから(千秋楽で再開は)分かるけど、もし何かあったら…」と心配していた。

その華形をめぐっては、本拠地最後の姿を目当てに来た70代男性が「相撲も力士が検温してるし、(検温は)当然」と語った。この日の千秋楽公演は無事に終了。退団者のセレモニーも行われた。

一方、劇場近くの喫茶店の従業員は「宝塚(歌劇の)休み中は人通りが少なかった」と話した。

宝塚大劇場では、星組公演はこの日で終了。13日から、花組新トップ柚香光(ゆずか・れい)の本拠地お披露目となる花組公演「ミュージカル浪漫 はいからさんが通る」が開幕する。

同じく2月29日から雪組公演を休止している東京宝塚劇場はこの日がもともと休演日で、10日から公演再開の予定になっている。