作家の乙武洋匡氏(44)が、内閣が検察幹部の役職定年を延長できるようにする検察庁法改正案にツイッターで抗議した歌手のきゃりーぱみゅぱみゅに対し、政治評論家の加藤清隆氏が「歌手やってて、知らないかも知れないけど」などと侮辱するかのような発言をしたことに、「この職業差別とも受け取れる発言が、政治評論家を名乗る人間の口から発せられたことが何より悲しい」と批判した。

きゃりーは10日、ツイッターで盛り上がるハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」と付けて自身も抗議したが、加藤氏から「歌手やってて、知らないかも知れないけど、検察庁法改正案は国家公務員の定年を65歳で揃えるため。安倍政権の言いなりになるみたいな陰謀論が幅をきかせているけど、内閣が検察庁を直接指揮することなどできません。デタラメな噂に騙されないようにね。歌、頑張って下さい」とのツイートを受け、「歌手やってて知らないかもしれないけどって相当失礼ですよ、、、、」と返した。

この一連のやり取りに乙武氏は11日、「きゃりーぱみゅぱみゅさんへの暴言を、絶対に許してはいけない」と題した長文をコンテンツ配信サービス「note」にアップ。加藤氏の「歌手やってて、知らないかも知れないけど」の文言に、「……なに言ってんの???意見が違うなら、正面から議論すればいい。自分より何回りも年下の若者に『俺のほうが知識がある』というマウントを取りたいのなら、死ぬほどダサいけれど勝手にすればいい。しかし、『歌手やってて、知らないかも知れないけど』という前置きは見過ごすことができない」と憤った。

「私はきゃりーさんとも、そして加藤さんとも面識がないので、どちらかの肩を持ったり、どちらかを不必要に貶めるような動機はない。その上で、声を大にして言いたい」と前置きした上で、「歌手は、政治に疎いのか。歌手は、法律に疎いのか。歌手は、社会問題に疎いのか。そんなものは、ただの思い込みだ。何の根拠もない妄想であり、甚だ悪質な決めつけだ」と加藤氏を批判。「今回の『検察庁法改正』について、どちらにより知識があり、どちらがより本質をついているか、ここでは関係がない。大切なのは、意見の異なる相手と議論する際、その相手を尊厳を傷つけるような発言は絶対に許されない、ということだ。あくまで相手の『意見』について反論するべきだということだ」と指摘した。

さらに「この職業差別とも受け取れる発言が、政治評論家を名乗る人間の口から発せられたことが何より悲しい」と嘆き、「きゃりーさんは、職業が何であろうと、国民としてごく当たり前のことをしたに過ぎない。それに対して、自分とは意見が異なるからと相手の職業に言及して、その正当性を損わせようとするのは、とても『政治評論家』のすることではない」と断じた。