映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)の製作会社スターサンズが、助成金交付内定後に下された不交付決定の行政処分の取り消しを求めて、文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)を訴えた裁判の第3回口頭弁論が27日、東京地裁で開かれた。この日は、原告側が意見陳述を行い、結審。判決の言い渡し期日は後日、決定する。

スターサンズの河村光庸エグゼクティブプロデューサー(71)は第3回口頭弁論後、司法記者クラブで開いた会見の中で「今日をもって結審したことは大変、意味がある」と語った。その上で「特に、コロナ禍において浮き彫りとなったのは、世界的に困った中での文化芸術の役割。いかに日本の行政が文化芸術、特に映画に対して、ぞんざいに扱ってきたかということが浮き彫りとなった」と強調。「助成金というものに対して、日本は極めて過小であり、ぞんざいに扱ってきた。コロナ禍において、映画関係者は極めて深刻な打撃が与えられている。特に我々のようなインディペンデントな映画会社、単館系の映画館が、いかに苦境に立たされているか。そのことに対して、行政のぞんざい感が浮き彫りとなったと思います」と語った。

河村氏は、今回の裁判で問われている助成金交付内定後に下された不交付決定の行政処分が、国会で検討されている新型コロナウイルスの感染者が入院措置を拒んだ場合に罰則を科すことに関する議論にもつながると訴えた。「コロナ禍で、もう1つ、浮き彫りになったのが貧富の差だったり格差、分断が助長されている。そのような中で今、まさに国会で問題になったコロナ(感染)に対し、入院を拒否した時は刑事処分する件が検討されている。医療における人権問題は、大きな問題として長い間、語られてきた。行政が、民主主義における根本である憲法を無視し、ぞんざいに扱ってきたことを、簡単に国会で決めてしまう体質が浮き彫りとなった」と語った。

その上で「まさに、私どもが今、行っている表現の自由の件含めて、本質的な権利に対して、行政がいかに無知であり、ぞんざいに扱っているかが見えた」と批判。「できるだけ早めに判決をいただき、私どもが勝つことで、いかに大きな問題になるかとうことを期待したいと思う」と口にした。判決の言い渡し期日は後日、決定する。四宮隆史弁護士は、判決の言い渡し期日について「順調にいけば3月終わりには判決が出るのでは? と期待しております」と見通しを示した。