日本舞踊家で女優の藤間爽子(26)が、舞踊家と女優として一時代を築き、09年に亡くなった祖母藤間紫さんの名跡を継ぎ、紫派藤間流3代目家元を襲名する。28日に東京・赤坂日枝神社で行われる継承の儀を前に「祖母も女優と日本舞踊家の2本でやった。私も同じ道を歩みたい。持っているものは、ちょっと違う気がするので、私の色を作っていく」と誓った。

6歳で日舞を始め、18歳で名取となった天賦の才能を映画やドラマ、舞台でも発揮した紫さんが亡くなって12年。6歳で祖母と初舞台に立った藤間が名跡を継ぐ。「おけいこも少ししかつけてもらったことがなく、藤間紫はおばあちゃんでしかなかった。偉大さを感じられないまま亡くなった。襲名をスタートに実感していくでしょう」と語る。

2代目を継いだ市川猿翁に師事し、けいこを続ける中、青学大3年の15年に女優を志した。父文彦さんは俳優を経てスーパー歌舞伎などのプロデューサー、母佳江さんも女優という家庭環境の中「後悔したくない」と選んだのは「舞踊がうまければ芝居もうまい」と語った祖母と同じ道だった。17年にNHK連続テレビ小説「ひよっこ」に出演し翌18年に劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」に所属。3月6日開幕の舞台「いとしの儚」ではヒロインを演じる。女優業は藤間爽子名義で続けるが「女優も藤間紫で…いずれ1つに」と語る。

コロナ禍で1年、延期された継承の儀は、藤間紫十三回忌を兼ねて行われ、襲名興行は来年1月29、30日に東京・国立劇場大劇場で開催予定。「他の方から偉大さを聞き、映像を見て、本を読む中で祖母は役の中身をすごく大事にして踊っていた人ではないかと想像している。きれいに踊るのも大切ですけど、心で踊ることが出来る舞踊家になりたい」と目標を口にした。【村上幸将】