100%対面で行われることが発表されていた今月25日に開催される第93回アカデミー賞の授賞式が、リモート参加不可のルールへの批判を受け、新たに欧州にもハブとなる会場を設置して中継をつなぐ計画であることが明らかになった。先月末に候補者を対象に行ったオンラインのグループミーティングで授賞式のプロデューサーが参加者に英ロンドンと仏パリにも会場を設ける意向を伝えたとハリウッド・リポーター誌が報じた。同賞を主催する映画芸術科学アカデミーは先月、他の映画賞のようなリモートでの参加は認めず、新型コロナウイルスの感染予防のために会場をハリウッドのドルビー・シアターとロサンゼルスのダウンタウンにあるユニオン駅の2カ所に分けて候補者やプレゼンテーターを招いて小規模で対面式の授賞式を行うことを発表していた。

しかし、主演女優賞候補のキャリー・マリガンら主要部門の候補者の中には英国在住者もいるほか、外国語作品賞の関係者など欧州からの参加者も多く、変異ウイルスが猛威を振るう中で不要不急の海外渡航が禁じられている国もあることやロサンゼルスでもカリフォルニア州外から到着するすべての人に対して10日間の自主隔離を義務付けていることなどから、州外や国外からの参加は困難でリモート出席を禁止するのは不公平だとの声が出ていた。

そうした批判を受けて渡航が困難な欧州在住の候補者のための拠点を設ける案を提案したというが、すべての参加者が安心して参加できるよう授賞式会場には最新鋭の検査場を設置することも発表し、合法的に渡航が可能な参加者にはロサンゼルスの会場に来て欲しいと要請をしているという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)