米ラップ歌手DMXさん(本名アール・シモンズ)が9日、ニューヨーク州ホワイトプレーンズの病院で亡くなったことが明らかになった。50歳だった。

2日に薬物の過剰摂取による心臓発作で自宅で倒れ、病院に運ばれたものの意識不明の重体だと伝えられていた。

家族が米ピープル誌を通じて発表した声明によると、およそ1週間にわたって生命維持装置をつけて闘ってきたDMXさんは、家族に見守られながら息を引き取ったという。「最後の最後まで戦った戦士でした。家族を心から愛し、私たちは彼と過ごした時間を大切にしています。アールの音楽は世界中の数えきれないファンに影響を与え、彼の伝説的なレガシーは永遠に生き続けます」とコメントしている。

入院後はチャンス・ザ・ラッパーやミッシー・エリオットら多くのセレブが早期回復を願うメッセージをSNSに投稿していたが、目を覚ますことはなかった。

DMXさんは1998年にリリースしたファーストアルバム「It’s Dark&Hell Is Hot」が初登場で全米ヒットチャート首位に輝くヒットとなり、その後2000年代初頭にかけてリリースしたアルバム5枚が連続で全米1位に輝く快挙を成し遂げてグラミー賞にも3度ノミネートされた。

また、98年には映画「ベリー」で俳優デビューも果たすなど順風満帆なキャリアを歩んできたものの、私生活では長年にわたって薬物中毒を患い、10代の頃から晩年まで窃盗や違法薬物所持、脱税などの罪で逮捕と服役を繰り返してきたことで知られる。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)