「NiziU半端ないって-」。3月30日、サッカー日本代表FW大迫勇也(30=ブレーメン)が、A代表で自身初のハットトリックを達成し、SNSで「#大迫半端ないって」がトレンド入りした中、筆者の脳内には、前出ワードもトレンド入りしていた。昨年までの“アイドル”という印象から、“アーティスト”へと変化したからだ。

9人組ガールズグループ、NiziUのセカンドシングル「Take a picture」の、ミュージックビデオ(MV)が3月29日、公開された。MVのYouTube再生回数は、本稿を執筆している15日には、4000万回を突破しており、変わらず驚異的な人気を誇る。

冒頭のRIKU(18)のシーンから、良さが爆発している。8人のメンバーが作る“フレーム”の中心で、天真らんまんに、ピースサインを披露。その後の、リーダーのMAKO(20)がとてつもない。キレッキレの素早い動きは健在だが、シャッターを切られるポイントでは、ピタリと止まる。最近カメラを新調し、まだ慣れていない筆者でも、簡単にぶれない笑顔が撮れそうだ。

冗談はさておき、このグループは9人の成長が著しい。昨年12月のデビュー時と比較しても、ダンスのシンクロ率、振りの角度、歌唱力などが、さらにレベルアップしている。同曲だけでも、9人それぞれに、書きたいと思うポイントがあるほどだ。

だが、筆者が「半端ない」と思った大きな理由は、MAYA(19)と、MIIHI(16)によるものだ。2人は昨年、体調不良で思うように活動ができなかった時があった。そして偶然にも「Take-」の最後は、MAYAから、MIIHIへつなぎ“これぞNiziU”といえるパフォーマンスを締めくくる。

MAYAは、オーディション番組「Nizi Project」で、「13人のメンバー全員がデビュー不可能だとしたら、誰を選ぶか」という問いに、自分を選ばなかった。自分を選ぶ練習生が多い中、「全体的なグループ像を見たときに、この7人が良いと思った」などと話し、実力があるにも関わらず、自分の力を信じられていないようにも見えた。

「Nizi-」では、1位を獲得したこともあり、歌もダンスも申し分ない。リーダーも多く任された。だが、これまでの曲では、フロントラインに立つことが少なかった。そんな中で、今回の「Take-」では、サビも歌唱。持ち前の表現力を存分に発揮し、魅了している。

曲のイメージにも、ピッタリだ。MVを初めて見たとき「センターが似合う」と、鳥肌が立った。高いダンスレベルに、安定した歌唱パートや、表情と空気感の作り方。各媒体で、MAYAのコメントが使用されることも増え、改めて、このグループの層の厚さを、再認識させられた。

そして、MIIHIだ。以前のコラムでも執筆したが、“THEアイドル”と言えるだろう。愛嬌(あいきょう)もたっぷりで、カメラに抜かれたら、その姿にハートを打ち抜かれるファンも多い。だが、かわいらしい容姿からは想像がつかない、確かな歌唱力も持ち合わせる。筆者が同曲で1番驚いたのは、ファルセット(裏声)と、英語詞の発音だ。

「Nizi-」で披露した「Nobody」は、今でも多く話題にあがる。当時15歳ながらハスキーな歌声と表現力で、Park氏を驚かせた。元から持ち合わせている桁外れな歌唱力に、新たに磨きかかったファルセットが加わった印象だ。

そして英語の発音。グループでは、RIMA(17)NINA(16)の2人が、英語を得意としているが、MIIHIのラストサビ前の発音には驚いた。今年の活動予定に「FIRST ENGLISH SONG」を挙げている、グローバルガールズグループにとって、これほど強みになることはないだろう。

昨年末、日本テレビ系「スッキリ」の特番で、デビュー日に生出演した際の舞台裏が放送された。リーダーは「今日から私たちは、プロの域に進みます。もう戻れません」と、メンバーに言った。

9人が進んだその道の先には、きれいな虹が架かっている。MVを見た時、そう感じた。【佐藤勝亮】