放送文化の向上に貢献した作品や個人、団体を表彰するギャラクシー賞(放送批評懇談会)4月度の月間賞が20日付で発表され、俳優本木雅弘(55)が主演を務めた特集ドラマ「流行感冒」(NHK)ほか3番組が選ばれた。「流行感冒」は4月10日にNHKBSプレミアムで放送された。

ドラマは100年前の流行感冒騒ぎが、現代のコロナ禍と重なって、未知の脅威に対する人間の心の弱さ、滑稽さにシンパシーを感じると同時に、人間同士の絆の強さが描かれた点が評価された。

大正時代の風俗や家の制度、それぞれの立場に応じた価値観、知識人の葛藤などが丹念に描かれ、本木をはじめとした演者の自然な演技とも相まって説得力を持って伝わったという。

原作は志賀直哉の「流行感冒」。時は1918年(大7)、全世界を未知なる恐怖に陥れた「スペイン風邪」。ドラマは、感冒流行の中、理性を失いむやみに人間不信に陥った主人公が、人への信頼を取り戻し日常に帰るまでの「心理的な綾」を描いた。

本木と安藤サクラ(35)が夫婦役で、神経質な作家を演じた本木の心が揺れ動くシーンが見どころとして注目された。仲野太賀、古川琴音、松田るか、石橋蓮司も出演。

ほか、NHKスペシャル「緊急ミャンマー 市民たちのデジタル・レジスタンス」(4月4日放送)、NHKスペシャル「看護師たちの限界線~密着 新型コロナ集中治療室」(4月17日放送)、フジテレビ「ザ・ノンフィクション 放送100回スペシャル」(4月11、18日放送)が選ばれた。