1日、フジテレビに金光修(66)新社長が誕生した。フジ・メディア・ホールディングスの社長から、中核企業であるフジテレビの社長を兼任することになったが、数年来低迷の続くフジテレビを上昇に導くことができるかお手並み拝見だ。

金光社長といえば、テレビ史上に残る名編成マンとして知られる。80年代に「楽しくなければテレビじゃない」を合言葉に天下を取ったフジテレビ。バラエティー、そしてトレンディードラマで向かうところ敵なしの状態に「知性」をもたらしたのが金光社長が手掛けた番組だった。

深夜の時間帯にバブル末期の日本の様を歴史上の出来事になぞらえて、知性&しゃれっ気をもたらしてくれた90~91年の「カノッサの屈辱」、特定ジャンルに特化した91~93年のマニアックなクイズ番組「カルトQ」、レジェンド料理人に自信満々の料理人が立ち向かう93~99年の「料理の鉄人」など、その業績はひときわ光る。

ドラマ、バラエティー、報道などと違い、編成マンというと、何をしているのか知らない人もいるだろう。どの番組をどの時間帯に放送するかを決めるのが大きな役割だが、それも優秀な番組があってこそ。番組を企画立案してこその編成マン。「成績優秀なエリート」「ドラマの敏腕」「バラエティーの達人」など、さまざまな経験を持った編成マンを見てきたが、テレビ界に革命を起こすような番組を作ることに掛けては、金光社長はピカ一だった。

そして、そのフジテレビで、キー局では初となる女性の編成部長が誕生した。中村百合子編成部長(51)で、編成畑を中心にバラエティー、情報番組、ドラマ、アニメなどを幅広く担当していた。長寿番組となったバラエティー「ウチくる!?」や、現在も放送中の情報番組「ノンストップ!」などを手掛けている。

初めて、その手腕に触れたのは08年の秋改編で始まった林家正蔵(58)司会の情報帯番組「スパイスTV どーも☆キニナル!」のプロデューサーを務めていた時。そのおだやかな人柄と豊富なキャリアに裏打ちされた語り口は新鮮だった。その後の活躍も注目して見ていた。

とかく「女性初の編成部長」ということで注目されがちだが、“芸風”の広さでは過去の編成部長と比べてもピカ一。お台場に新たな風を吹かせてくれることを期待したい。

ちなみに1日付でアナウンス室長に就任した宮道治朗室長(52)は旦那さま。宮道室長も、15年6月から2年間、編成部長を務めた。よきアドバイスを期待したい。【小谷野俊哉】