女優森田望智(24)が、正反対のドラマ作品で存在感を示している。Netflixで配信中の「全裸監督 シーズン2」では、19年のシーズン1に続いて、ヒロインの伝説のAV女優黒木香こと佐原恵美役。NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」では、気象予報士の野坂碧役を好演中だ。芸能活動を始めて10年の節目でもある。このほど、日刊スポーツの取材に応じた。【聞き手=大友陽平】

   ◇   ◇   ◇

「全裸監督」では、まさに“体を張った”演技が話題を呼んでいる。シーズン1ではAV女優になるまでの過程が描かれたが、シーズン2では黒木から佐原に再び“脱皮”する新たな局面を演じた。

「終わってみて、体をさらすという意味での覚悟というより、役作りに対する姿勢とか、現場でのたたずまいとか、私がこれから役者としてやっていく上での覚悟が問われていたんだと思いました」。

シーズン1当初の撮影では、緊張と不安の連続だった。吹っ切れた瞬間があった。

「シーズン1第5話の、面接に行ってそのままの流れで…というシーンで、私だけ事前に何週間か前にリハーサルをやっていたにも関わらず、恥ずかしさとか不安もあって全然うまくできなくて、大きな壁となっていました。その時に武正晴監督が、自ら女性の方の動きを全部見せてくださって、その姿が本気で…。熱意を持って、どうにか世界に届けたいと思う中で、私がここで戸惑って止まっていていいのだろうかと。その姿を見た時に、吹っ切れました」

反響は国内にとどまらず海外にも波及している。

「SNSでの反響も、台湾とかシンガポールとか、アラビア語? とか…。多様性にびっくりしています」

一方、初の朝ドラ出演となった「おかえりモネ」では、気象予報士の野坂碧役を演じている。

「朝ドラの撮影は初めてで、テンポ感も速いので、瞬発力が問われているなと思いながら、難しさや新鮮さを感じています」

清原果耶演じるヒロインの永浦百音の先輩役だ。

「現代劇ですし、野坂さんみたいな人が自分の職場にいたら…と、親近感を持ってもらえればと思いますし、身近にいそうな空気感が出せたらと思っています」

正反対の作品への出演が、偶然にも同時期に重なった。

「『全裸監督』は海外の方や、若い女性の方に見ていただく驚きが多かったんですけど、朝ドラは私の祖母のお友達とか、年齢層が高い方まで幅広く見られていることを感じています。いい意味で正反対ですが、『全裸監督』が好きな人にも『おかえりモネ』がおもしろいと思ってもらいたいですし、その逆も。年代、性別とかの境界を越えていければと。どちらを先に見ればいいかですか? 『全裸監督』は皆さんキャラが濃いので…。モネは(シーズン2に出演の)恒松祐里ちゃんも出てますし、さわやかなモネから見ていただいて、それからクセのある方を見てもらった方が、印象を引きずらずに見ていただけるのではないかと思います(笑い)」

芸能活動を開始して、ちょうど10年の節目も迎えている。

「求められることと自分がやりたいことは違ったりもするので、周りから『合っているんじゃないか?』『こういう作品がいいんじゃないか?』と思ってくれるものに、今は身を任せる方が、いろいろな道が見えてくるのかなと思っています。将来的には『私にしかこの役はできないよね?』って思ってもらえる女優さんでありたいですし、この世界のどこかに、この役がいるんじゃないかと思ってもらえるのが理想です。役者として、そう見られたらうれしいです」

◆森田望智(もりた・みさと)1996年(平8)9月13日、神奈川県生まれ。11年に芸能活動を開始。映画は17年「一週間フレンズ。」、ドラマは昨年TBS系「恋する母たち」など出演。特技は3歳から始めたフィギュアスケートとクラシックバレエ。NHKラジオ第1で放送の原爆の日ラジオ特集「被爆オリンピアンが遺したメッセージ」(9日午後8時5分)に出演。163センチ。血液型O。