歌舞伎座「九月大歌舞伎」(9月2日初日)に出演する中村梅玉(75)、中村芝翫(55)がこのほど取材会を行い、意気込みを語った。梅玉の父、六世中村歌右衛門の20年祭と、芝翫の父、七世中村芝翫の10年祭を記念する追善公演となる。

芝翫は「父が亡くなって、早くも10年たってしまった。不肖の息子で死に目にも会えず、心のどこかで父の追善をしたいと思っていた。本当に感謝しています」。また「最近は鏡に映る自分の手や太ももがゾッとするくらい似てきて、顔も似てきた」と笑い、成駒屋一系一門総出演での舞台に「一門だけで第一部をやれるというのはすごいこと。ぜひ、面影をしのんでいただけたら」と話した。

また芝翫は、おじである歌右衛門と2人ですき焼きを食べた思い出を披露。「おじ様が具合が悪くなって東京に戻ってきた時、新横浜まで迎えに行ったら、すき焼きを作ってくださった。差し向かいで2人でごはんを食べて、すごくうれしくて泣いちゃった。いまだにそのすき焼きが僕にとって世界一」。

梅玉は、「父も、芝翫兄も偉大な先輩。歌舞伎界にはこういう偉大な先輩がいたとあらためて確認し、歌舞伎界全体を盛り上げていくことが供養であり、使命」と話した。