小松菜奈(25)主演映画「ムーンライト・シャドウ」(エドモンド・ヨウ監督、10日公開)の完成報告会見が1日、都内で行われ、小松や、宮沢氷魚(27)原作者の吉本ばなな氏らが出席した。

同名の短編小説は、88年に刊行され、世界30カ国以上で翻訳された「キッチン」に収録されたラブストーリー。ある日突然、愛する人を亡くした主人公が、死者ともう1度会えるかもしれない、という不思議な「月影現象」を知り、哀しみを乗り越え、未来へ進んでいく姿を描く。主人公のさつきを小松が、さつきの恋人の等を宮沢がそれぞれ演じるほか、佐藤緋美、中原ナナも出席した。

小松は「私が生まれてくる前の、ばななさんが24歳で書かれた作品です。演じた時は私も24歳で、何か運命を感じました。愛と喪失感、生と死がテーマで、素直な心で演じようと思いました」。ばなな氏は「もしかしてすべてが夢かもしれないという話です。小松さんがさつきを演じてくれて、肉体が肉体を失ったということが感じられました。作品を見て、こういうことを書きたかったんだなと思い出しました」と話した。

ヨウ監督はマレーシアからオンラインで参加した。「早大で日本の文学や文化を学び、尊敬するばなな先生の作品を映像化でき光栄です。小松さんは、いないと作品が成立しませんでした。自由に演じてもらい、毎日興奮していました」。さらに「マレーシアでは映画館が開いておらず、映画がみられません。上映される日本はうらやましい。頑張ってとった作品で、やすらぎやなぐさめを感じられると思うので、よろしくお願いします」と語った。