宝塚歌劇の星組「柳生忍法帖」「モアー・ダンディズム!」新人公演が12日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、6年目の天飛華音(あまと・かのん)が主演を務め、感極まって涙した。

コロナ禍で新人公演休止が続き、星組にとっては約1年8カ月ぶり、天飛自身も約2年2カ月ぶり2度目のセンターだった。終演後の取材で、新人公演への感慨と、稽古段階でのどを痛めた「心残り」からの涙だったと明かした。

「新人公演がどれほど私たちにとって、学びの場であるか。ありがたいことなのか。(再開され)実感しています。(経験は)かけがえのない財産…」

取材の場でも、涙で言葉を詰まらせ「今日ここまでの学びを生かしていきたい」と言い、唇を真一文字に結んだ。

天飛は、16年入団の102期生。前トップ紅ゆずるの退団公演だった19年「GOD OF STARS-食聖-」新人公演で、初主演。当時は4年目で、今回は新人学年最年長に次ぐ6年目。「研4だった前回と(舞台から)見える景色も違った」。公演へかける思いも強いゆえ、のどを痛めていたと明かした。

「稽古では発声に苦労しました。私はのどをつぶしてしまう方なので、男らしさを出そうと、稽古の段階で声をダメにしてしまった、それが心残りです」

本役は歌、ダンス、芝居ともに高いレベルでそろうトップ礼真琴。天飛も下級生時代から、歌や芝居心が注目されていたが、2度目主演で、しかも久々の新人公演とあって、力も入っていた。のどの不調を乗り越えて、力強い歌声を披露し、軽やかな殺陣で芝居運びでも熱演した。

礼からは「絶対大丈夫! できる!」と励まされた。「(礼から)優しい言葉をかけていただき、ずっと見守ってくださった。それがなければ今日、舞台に立てていませんでした」と言い、あこがれの先輩の言葉が支えに、センターへ立った。

相手役は、天飛から1年後輩の瑠璃花夏(るり・はなか)で、初ヒロイン。本役のトップ娘役舞空瞳からは「自分で作り上げたものを迷いなく演じたら大丈夫」と背を押され、本番へ臨んだと明かした。

東京宝塚劇場での新人公演は12月2日。