タレント熊田曜子(39)の顔を平手でたたいたとして、暴行罪に問われた夫(38)の第2回公判が9日、東京地裁(深野英一裁判長)で開かれ、熊田が検察側の証人として出廷し“直接対峙(たいじ)”した。事件当日の詳細や、5年前にも夫から暴力をふるわれたことについて触れると、涙ながらに証言する場面もあった。次回公判は17日に同地裁で開かれ、被告人質問が行われる。

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先月15日に同地裁で開かれた初公判で、夫が起訴事実を否認した今回の裁判。この日は証人尋問前に、事件当日の暴行の証拠となる音声データの検証が行われ、「ぶっ殺すぞ!」などと夫が怒鳴る様子が明らかになった。その後に熊田が出廷。パーテーションなどによって傍聴席や夫からはその姿を伺うことはできなかったが、何度も涙しながら証言した。

起訴状などによると、事件は5月18日午前0時すぎ、酒に酔って帰宅した夫が、前日17日に熊田がママ友から受けた子どもを預かってほしいという依頼を断るように要求したことをきっかけに、暴言や、熊田の顔面を平手でたたき、お尻あたりを蹴ったとしている。叱責(しっせき)される前から「恐怖を感じていた」といい、平手打ちを受け「脳が揺れるくらいの痛みを感じた」と振り返った。

音声データをスマートフォンで録音していたのは「5年前に夫から暴力を受けて警察に相談した際に、録音しておいてとアドバイスされたから」と涙ながらに明かした。自宅から飛び出し、警察に通報するに至ったことについても「誰か助けて欲しいと…。私さえ我慢すればいいと思っていたのですが、このまま(飛び出したまま)だと子どもたちから母親も父親もいなくなってしまうと思い、警察にお願いしようと思いました」と声を震わせた。

きっかけとなったママ友からの依頼を受ける前に、夫から熊田に「18日午前に話がしたい」と連絡があり、熊田も承諾していたという。事件前の4月には、夫から浮気を疑われたこともあったというが「その場で納得してくれていました」といい、事件までの約1カ月間は「結婚生活9年で、それまで午前4時、5時に帰ってくるのが、早く帰ってきてくれたり、私が作ったご飯も食べてくれるようになった。私が感じる“理想”でした」。感情が高まり、途中裁判長からは「大丈夫ですか?」と心配されるも「大丈夫です」と最後まで証言した。

法廷で直接対峙(たいじ)は予定を20分超える約85分となったが、夫も熊田の姿こそ見えないものの、証言をメモし、弁護人とやりとりする場面もあった。

○…検察側の証人として、夫を逮捕した警察官も出廷した。110番の入電を受けて、自宅近くにいた熊田を保護し、自宅を訪れた際に、夫は妻を蹴ったことについては否認したものの、顔を1回たたいたことは認めたため逮捕したという。ところが、逮捕しようとした際に、夫は「何、逮捕?」と警察官の手を払いのけ、さらに駆け付けた複数の警察官もはねのけるなどの抵抗をしていたことも明らかとなった。