嵐松本潤主演の22年NHK大河ドラマ「どうする家康」で制作統括を務める磯智明チーフ・プロデューサー(CP)が先日、オンライン取材会を行った。その中で、番組タイトルの由来に触れる場面があった。

来年1月スタートの小栗旬主演「鎌倉殿の13人」は大河タイトルに初めて算用数字が使われたことで話題を集めたが、重厚さを感じることが多い大河のタイトルとしては、どこか軽妙な響きを持った「どうする家康」もまた珍しい。

徳川家康を描くことは脚本・古沢良太氏の念願だったという。企画段階を振り返った磯CPは「(題材がが)王道すぎて、そっちですか? という話になったけど、古沢さんとしては『変なこと言いましたかね?』みたいな感じだった」。その際、古沢氏が考える家康像を聞き「子供の頃は人質で、そこから天下人になる。こんなに夢がある話はない、という思いだったらしい。その時の古沢さんの話が非常に面白かったので、これを大河ドラマにするのが一番いいんじゃないかと思った」と、考えを改めたという。

古沢氏がさまざまな話を展開する中で、頻繁に登場したのが「どうする家康」というフレーズだったという。「毎回毎回、どうする家康、どうする家康、というエピソードがどんどん起こってきて。家康のハラハラドキドキの物語を描きたいとおっしゃった」と振り返った。

その後、この言葉を気に入った制作側がタイトルとして提案したという。「大河ドラマとしてはふざけすぎじゃないですか?」という古沢氏の反応を明かしながら、「家康が突きつけられた人生なり、そこをどう乗り越えたのかというメッセージは込められている。他にどういうタイトルを持ってきたとしても、『どうする家康』以上にこのドラマを言い当てているものはない」と決断に自信を見せた。

翻弄(ほんろう)される家康が目に浮かぶようなタイトルだが、コメディー的要素よりも「キャストも王道の方にお願いしたいし、本格派の大河ドラマになると思っている」と磯CP。「徳川家康」(83年・第21作)、「葵 徳川三代」(00年・第39作)とこれまでにも描いた人物で、大河ドラマ全体を通しても常連キャラの家康だが、古沢氏の脚本には新しさを感じており「またやるのかと思ったけど、それを上回る面白さがあった。古沢さんの楽しそうな表情が印象的だった」。

古沢氏の脚本と、松本が見せる新しい家康が楽しみだ。