英王室を離脱してもうすぐ2年になるヘンリー王子(37)が、米ビジネス誌ファスト・カンパニーのインタビューでメンタルヘルスについて言及し、「楽しくない仕事は辞めても良い」と語ったことが物議を醸している。今年3月に企業の従業員にオンラインによるコーチングやカウンセリングを提供する米サンフランシスコのスタートアップ企業ベターアップの最高インパクト責任者に就任したヘンリー王子は、会社のプロモーションも兼ねたインタビューでコロナ禍で失業率が加速したことについて問われ、「悪いことばかりではない」と持論を展開した。

「仕事を辞めるのは悪いことばかりではない。実際に自己認識することは変化が必要だというサインだ。世界中の多くの人々が楽しみをもたらしてくれない仕事に縛られてきた。しかし今、人々は自分のメンタルヘルスと幸福を優先している。それは祝福すべきことだ」とコメント。さらに最高インパクト責任者としてコロナ禍で燃え尽き症候群の増加や退職者が増える傾向があることへの対処について問われると、「表面的にはここ数年でこれら全ての問題が表面化したように見えるが、実際には長い間存在していた。メンタルヘルスの目覚めが始まったにすぎない」と話し、ベターアップの役割はかつてないほど重要になっていると語った。

しかし、王室離脱後も何不自由ない生活を送っているヘンリー王子のこの発言に対し、「銀行に預貯金がたくさんある男の話」「お金がある人が言うのは簡単なこと」とSNSには上から目線だと批判するコメントが多く寄せられており、庶民は生活のために簡単に仕事を辞められないと反発もあり、必死に働いている人たちの怒りを買ってしまったようだ。(ロサンゼルス=千歳香奈子)