岡田准一(41)が主演の映画「燃えよ剣」(原田眞人監督)が第34回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)で石原裕次郎賞に輝いた。

劇中で土方歳三を演じた岡田は、裕次郎さんへの思いをはせて受賞の喜びを語った。石原裕次郎賞には300万円が贈られる。

   ◇   ◇   ◇

受賞を受け、岡田は「昔からあるような映画の作り方みたいなのができた現場でした。すごく光栄です」と喜んだ。「新選組という有名な題材でありながら、キャストが自然と役を生きるのがすごく伝わってくる、不思議な現場でした。とても濃厚で濃密な時間を過ごさせてもらいました」と撮影を振り返った。

劇中では新選組の副長となる土方歳三を演じた。「役柄の表面を見せるというより、土方という男がどれだけ血を流し、汗をかき、どういう体臭で、どういう風に戦い続けたのか、地に足着いて演じたいと思いました」と説明した。

高い身体能力を生かし、高度なアクションもスタントなしでこなす。「自分が得意としてるのは、心情だけではなく、体で表現をしていくところ。やっぱり、体でも心でも表現して、両方できて1つの芸術だと思っているので」。今作でも殺陣を手掛けるなど、振付師としても貢献した。

「体の使い方のちょっとした積み重ねで、そのキャラクターの人格が見えてくると思うんです。裕次郎さんもそうだったと思いますし、勝新(勝新太郎)さんや三船(敏郎)さんも…。昔の役者さんは、説明のいらない説得力がすごい。そこにいれば、こうだったんだろうなと思わせることができる。動き方、さばき方、剣の使い方で、その人物が雄弁に語っている。僕もこだわっているところではあります」

今年11月1日、V6が解散した。デビュー26周年での区切り。「グループで一番年下だったから見えたものもありますし、振付師として、俳優としての目線でもいろんなことを見てきました。どれも僕の中で大事に蓄積されるものだと思います」とうなずいた。

「余白や空白の部分を安心して任せられる人になりたい。ト書きで書ききれない部分も『この7分はアクションで岡田が面白く作ってくれる』と信頼してもらえる人でいたいですね」

来年公開予定の主演映画「ヘルドッグス」では、原田監督と再びタッグを組む。40代に突入し、さらに深みを増していく。【横山慧】

◆選考経過・石原裕次郎賞 「シリーズのボルテージが落ちていない」(寺脇研氏)と「るろうに剣心」を推す声と「意志を貫いた若者たちを描いた」(安藤涼子氏)「岡田准一に時代劇で賞を」(石飛徳樹氏)と「燃えよ剣」を推す声があり、2回目の投票で「燃えよ剣」が過半数を得た。

◆岡田准一(おかだ・じゅんいち)1980年(昭55)11月18日、大阪府生まれ。95年V6としてデビュー。13年公開「永遠の0」で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞。来年公開予定の主演映画「ヘルドッグス」で原田監督と再びタッグを組む。23年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では織田信長役。血液型B。

【関連記事】日刊スポーツ映画大賞受賞者一覧

◆燃えよ剣 司馬遼太郎氏の同名小説が原作。たぐいまれな剣の腕を持った土方歳三(岡田准一)は、武州多摩から、近藤勇(鈴木亮平)、沖田総司(山田涼介)らと京都に向かい、新選組として活動する。時代が大きく動く中、土方の苦悩や貫いた信念を描いた。