TBSドキュメンタリー映画祭(3月18~24日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷)の記者会見が21日、オンラインで開催された。

同映画祭は、テレビニュースで放送しきれなかった膨大な取材映像などをさらに深く掘り起こし、さまざまなテーマで、11作品のドキュメンタリー映画として、上映する。

同映画祭のプロデューサーを務める、TBSテレビ報道局/報道コンテンツ戦略室長の大久保竜氏は「日本にドキュメンタリー文化が広がればいいなと思います。前回は報道局中心。今回は社内で他のジャンルもあってオールTBSといってもいい。幅広いジャンルがそろいました」と胸を張った。

「女性にとって世界最悪の場所」と呼ばれるコンゴ民主共和国・東部ブガブを舞台に、鉱物資源の利権のために、武装勢力から性暴力を受け、恐怖におびえる女性たちを無償で治療してきた婦人科医、デニ・ムクウェゲに焦点を当てた「ムクウェゲ『女性にとって世界最悪の場所』で闘う医師」の立山芽以子監督は「被害にばかり関心がいってしまう。女性たちと先生が助け合って生きているその関係性みたいなのが印象深い、描きたいと思った」と語った。

鉱物資源という観点から日本とも無関係ではない。「自分たちとつながっている問題だと、生きる同じ今の世界でこういうことが起きているのだと知ってほしい。快適な暮らしが何によって支えられているのか知って考えて行動するというのにつながっていけばいいなと思います」と呼び掛けた。

「池袋母子死亡事故『約束』から3年(仮)」の守田哲監督は、「取材するにつけて、これは善悪で割り切れない世界、二項対立で憎しみあっているわけではないと感じました」。そして「この事故はかわいそうだと伝えたいわけではなく、被害者がいて被害者の家族がいる。加害者がいて加害者の家族がいる。事故がなければ、その4者の悲しみが生まれない。自分事として考えていただきたい」と伝えた。

 

他の上映作品は以下の通り

「クライマー山野井泰史~垂直に魅せられた人生~(仮)」(武石浩明監督)

「ももいろクローバーZ~アイドルの向こう側~(仮)」(酒井祐輔監督)

「難病と私~萌々花20歳 だから私は前を向く(仮)」(山本一雄監督)

「永遠の総理候補・石破茂 嫌われた正論(仮)」(中島哲平監督)

「完黙 中村喜四郎~選挙無敗の男が負けた時(仮)」(武田一顯、松原由昌監督)

「戦争の狂気 戦場特派員が見た中東和平の現実(仮)」(須賀川拓監督)

「日の丸~それは今なのかもしれない~(仮)」(佐井大紀監督)

「ライブで歓声が聞こえる日~コロナ禍に抗う音楽業界(仮)」(川西全監督)

「地下鉄サリン被害者家族の25年~さっちゃん最後のメッセージ~(仮)」(西村匡史、神保圭作監督)