第94回アカデミー賞で、邦画で史上初の作品賞、脚色賞(共同脚本の大江崇允氏も)監督賞、国際長編映画賞の計4部門にノミネートされた、「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督(43)が9日、滞在先のドイツからオンラインで会見を開いた。

質疑応答の中で、アカデミー賞へのノミネートで、「ドライブ・マイ・カー」のようにインディペンデントと呼ばれる小規模なアート系の作品から、今後、より大きなバジェットの作品に挑戦するチャンスが来たら? と質問が出た。濱口監督は「いろいろな賞をいただいて『これで好きなことが出来るね』みたいなことを言われたりするんですけど、今までもそれなりに好きなことをやってきたというところではあるので」と笑みを浮かべた。

その上で「(製作の)予算が仮に増えたからといって、じゃあ自分の映画が格別に面白く何か変わっていくかというと、それは分からない」と答えた。そして「予算をかけなければ出来ないようなこと…例えば時代劇がそうですけど、たくさんある。自分が描きたいものに見合った予算で、常に作っていけたら良いなと思っています」とも口にした。さらに「アカデミー賞の後に、何か状況が変わるのかも知れないですけど、それは変わってみないと分からない。現時点では何も分からない」と語った。

濱口監督は、会見の最後に「『ドライブ・マイ・カー』の撮影を終えた時に、本当にたくさん幸運に恵まれた(と思えた)。役者と役の出会い、天候1つ取っても、我々の予算では、晴れを待つことは出来なかった。おかしいくらい晴れた。出来た時、自分はどういうところに導かれていくんだろうと思ったりもした」と振り返った。

その上で、邦画初のアカデミー賞作品賞、そして監督賞に日本人監督がノミネートされるのも1966年(昭41)「砂の女」の勅使河原宏監督、86年「乱」の黒澤明監督以来36年ぶり3人目という現状について「1つ、アカデミー賞は、こんなところまで来てしまったという極致ではありますね」と評した。その上で「そういうところまで導いてくれたのは、役者さんたちの誠実な取り組み、支えたスタッフ、プロデューサーの仕事の力だと思っています。それが、きちんと多くの方に現時点で受け入れられていることを、うれしく思います。賞というものは、なりゆきでしかない。その場に行って、皆さんと、この仕事が自分たちにとって大きな成果になったということを喜び合いたい」と笑みを浮かべつつ、語った。