歌舞伎俳優の坂東竹三郎(ばんどう・たけさぶろう=本名・岡崎正二)さんが17日午前11時28分に骨髄異形成症候群のため、大阪市内の病院で亡くなっていたことが21日、分かった。89歳。大阪松竹座宣伝部が発表した。

葬儀・告別式は家族葬で執り行われた。

板東さんは1949年(昭24)5月、4代目尾上菊次郎の弟子となり、大阪・中座「盛綱陣屋」の腰元で尾上笹太郎を名のり初舞台。1959年(昭34)9月3代目坂東薪車(しんしゃ)と改名し名題昇進。1967年(昭42)3月に菊次郎の名前養子となり、朝日座「吉野川」の久我之助(こがのすけ)ほかで5代目坂東竹三郎を襲名した。

1978年(昭53)上方舞の東山村流の二世家元となり山村太鶴を名のる。

関西に居を構える数少ない俳優の1人。「すし屋」のお米や「引窓」のお幸、「忠臣蔵六段目」のおかやなど、情愛深い母親役や「封印切」のおえん、「吉田屋」のおきさをはじめとする上方の花車方、さらにはスーパー歌舞伎2「ワンピース」(女医ベラドンナ)などの新作歌舞伎の舞台でも存在感を発揮した。

自主公演「坂東竹三郎の会」では復活狂言にも取り組み、また、1997年(平9)年に開塾した「松竹・上方歌舞伎塾」の講師を務めるなど、上方歌舞伎の振興と、後進の育成に注力した。

最後の舞台は2021年(令和3年)12月南座「雁のたより」の仲居お君。1994年(平6)、1995年(平7)、1999年(平11)十三夜会賞助演賞。1998年(平10)十三夜会賞奨励賞。2000年(平12)大阪市民表彰。2003年(平15)第二十四回松尾芸能賞優秀賞。2007年(平19)第十三回日本俳優協会賞特別賞。2009年(平21)文化庁長官表彰。2018年(平30)度大阪文化祭賞。2022年(令和4)松尾芸能賞功労賞。