拓郎、見納め-。シンガー・ソングライター吉田拓郎(76)が、来月21日に5年ぶりに復活するフジテレビの音楽バラエティー「LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP」(午後8時)で、最後のテレビ出演をすることが24日、分かった。すでに、29日に発売するアルバム「ah-面白かった」をもって「52年のアーティスト活動にピリオドを打つ」ことを表明。96年10月から01年3月までレギュラー放送した同番組で音楽活動も共にした盟友、KinKi Kids堂本光一(43)堂本剛(43)とのラスト番組で、花道を飾る。

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▽以下、拓郎とKinki Kidsのやりとり

堂本光一(以下、光一) 拓郎さんの一声で始まりました。「LOVE LOVE~」レギュラー放送の頃から拓郎さんの一声でみんなが集中してひとつの方向に動き始めるということが多かった気がします。昔はそういう感覚で物事が進むことは少なくなかったと思うんですけど、今の時代においてはなかなかないこと。今回実現できたのは、拓郎さんのリーダーシップのおかげですし、昔もそうやってやったなっていう感覚を思い出してうれしかったです

堂本剛(以下、剛) 番組が終わってからも、「『LOVE LOVE~』見てました」”といろいろな方に言っていただける人生なので、「LOVE LOVE~」という番組が自分だけじゃなくて、いろいろな人たちの記憶に残ってるんだと、影響があった番組なんだなと実感することが多かったんです。なので、すごくうれしいと共に「ラストか」という気持ちももちろんあります。でもリハーサルをやって、「こういう雰囲気だったよな」とみんなでお話をして。番組が終わってから、長い時間がたったはずなのに、“先月もやっていた”みたいな雰囲気が、めちゃくちゃ不思議で。篠原(ともえ)も随分会っていなかったですが、あっという間に当時に戻れる感覚。そういう関係性を、画面を通して改めて、皆さんにお届けできることがすごく幸せです。だから、放送が決まったと聞いたときはそこまで想像できていなかったですけど、改めてリハーサルをしてみてそういう空気感と共に、皆さんに伝えられるという機会をまたいただけたのでうれしいなと思っています

吉田拓郎(以下、拓郎) 僕は年齢的にも2人より全然上で、いろいろなことをリタイアしたいなと考えていまして。そういう意味で言うと、テレビとのお付き合いも「LOVE LOVE~」で最後にしたいな、という決心が随分前からありました。光一と剛と最後に一緒にやって、一緒の時間を過ごして、それを最後のテレビ出演とするのはどうかなと、かねてから思っていました。それで、プロデューサーと話して、特番などでやれるといいんだけどねと話をさせてもらって。僕はとてもすてきな有終の美を飾れそうで、とても幸せ。光一、剛、篠原さん、皆さんに感謝しています

-改めて「LOVE LOVE~」はどのような存在か?

拓郎 2人ともよく話すのですが、この番組の始まりは偶然だった。海の物とも山の物ともお互いに何も面識もなく、年齢差もすごくあった僕らが集められて、僕らが意識して集まったわけではなく集められたわけですから。その偶然からいろんな奇跡が起き始めて、その奇跡をみんなで、僕ら3人だけでなくスタッフも含めて作り上げてきた。番組が終わって毎週スタジオに行くことがなくなった寂しさを考え、感じながら、「あの数年間は奇跡的だったな」と思うようになりました。5年前の特番のときは、終わってから16年もたってから集まったのに、ずっと続けてやっていたような感覚に陥って。不思議なこと起こってるなって。偶然から始まった奇跡が続いていて、今もその中に僕らが置かれている。残念ながら、この感覚はどなたにもわかっていただけないかもしれない。でも、光一も剛も、篠原さんも、僕もずっと「何だろう、これ」という感覚を抱きながら、今ここにいるんじゃないかな。僕はこの感覚を感じられることがすごく幸せです

-拓郎が「最後のテレビ出演にする」と聞いた時の心境は?

光一 今回の特番が終わった後に、拓郎さんに「最後を飾るのに本当にふさわしかったよ」と言っていただけることもすばらしいことだし、「いや、楽しいからもうちょっとやろうかな」と言っていただけるのもうれしいことです。どっちに転がるかわからないですし、どっちに転がそうとも思っていません。だから拓郎さんがおっしゃったように、ずっと奇跡の中でやってきたので、終わりという言葉というよりも、これからまたどんな奇跡が起きるんだろうという思いでやれば、また奇跡が起きるかもしれない。フワッとしてるかもしれないんですけど、そんな感覚です。今こうやって改めて番組が特番として帰ってくることも奇跡だと思います。そこを大事にやっていけば、何かまた生まれるんじゃないかという期待感も込めながら、やりたいなと思います

剛 僕も同じような気持ちですし、ひとりの人間の人生というのは、それぞれあるわけで。その中で出会いも別れもありますし、思うこともそれぞれ違うし、でもお互いを尊重し合いながら生きていくのが“仲間”だと思うし、愛する人のためにできることだと思うんです。リハーサルをして楽しかったし、収録の日も、どんな日も2度とないので、当たり前の中にある喜びをかみしめながら当日は過ごしたいです。そこで生まれたコミュニケーションがまた何かにつながるかもしれない。コロナ禍で、自分自身が部屋でずっと過ごしていたら、拓郎さんから「アレンジをお願いしたい」と電話をいただいて。全く予想していなかったです。この大変な時代を、何とか自分なりに耐えている中で、そういうご連絡をいただいた時から今日までがどんどんつながってるんです。だから収録の日も何かが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれないけど、でも拓郎さんの言葉にもあったように、わかってもらえないような不思議な関係性の人たちが集う日だし、何かが、始まるんだろうなとは僕は思っています。光一の言うように、何かが起こるようにわざと導こうとも思ってないし、自分たちらしく楽しく過ごせたら、まずはそれが幸せなんでそんな日になればいいなと思います」

 

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