宝塚歌劇団出身で元星組トップ娘役の妃海風(ひなみ・ふう、33)が、9月25日にビルボードライブ大阪で、セルフプロデュース公演第3弾「Thank you for…」を行う。7月に舞台俳優との結婚を発表し、今公演を機に舞台活動は「小休止」とし、その前に「感謝の思いを伝えたい」と話す。東京・コットンクラブでも、10月1日に予定している。

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16年11月に退団。以後のライフワークとなったセルフプロデュース公演も、今回が第3弾。タイトルにも「感謝を伝えたい」思いを込めた。

「これ(結婚)を機に、お仕事の方もちょっとゆっくりさせていただこうかなって。いったん、ここでちょっと小休止。ですので、特別な公演にさせていただきたく、ファンの方ひとりひとりにも、メッセージが伝わればいいなって」

公演では、日付変更線をこえてから明け方までをテーマに構成する考え。「夜中12時から朝5時ぐらいまで、あのロマンチックなコントラストの時間帯をテーマにしたい」と考える。

宝塚時代の作品、ミュージカル作品からのメドレーに加え、昭和歌謡から現代まで、ジャンルを問わずにラブソングも歌う。のべ13~14曲を予定し、衣装も深夜から明け方をイメージして変化する。深夜ゾーンでは「大人のラブソング」から、「ガツン! と目覚める歌」へ向かうと言い、「朝日とともに、希望に満ちた曲」へつながる構成になりそうだ。東西で構成も一部変えるという。

取材時の衣装は白が基調。区切り、節目に「白」は「宝塚的考えかもしれないけれど」と笑う。「ウエディングドレスのイメージも?」と聞けば、それは「どうとらえるかは皆さんの…」と言い、また笑った。

退団から11月で6年。表情に柔らかみが増した。

「顔、変わったって言われるんです。それはもう、最大の褒め言葉。自分的には日々の美容の努力のおかげ? と思ってます。在団中は、日々“キラキラ”を浴びてたから、睡眠が不足しても、保てていたのかなって今、思います」

退団後、ここまで「日々突き詰めて」きたそうで、定期的な稽古がない分、歌は「1人カラオケ」で稽古を怠らず。コロナ禍にあっても、心身ともに磨きの手を止めることはない。

今後、舞台活動は控えても、美容への探求の成果など、近況はSNSを通じて発信していく考えだ。

「自分の生活に、もう少し目を向けていきたい。でも、自分の好きな物、ときめく物とか。私があげる日常のインスタを見て、舞台に来てくださるようになった方とかもいますし、(休養中も)みなさまに何か、還元していけたら」

結婚は「直感」に従い「自然」な流れにのった。

「(交際中に)あ、そろそろ結婚じゃないか? と、私が勝手にドーンと思って(笑い)。突然感じる日が雷のようにやってきたといいますか…」

結婚が発表されると、小学時代以来、連絡をとっていなかった友人から、祝福のメッセージが届いた。

「それがすごくうれしくて。だから、『そこまで深い仲』って思う人にも、誕生日とかお祝いしていきたいって思いました。『ありがとう』が広がって、またご飯に-ってなるかもしれない。ハッピーの連鎖はうれしいですから!」

舞台活動は小休止するが、将来は「何年後かには舞台に復帰しているかもしれないし、そこは流動的でいいのかなって思えるようになりました」。以前は、一度決めたことは徹底する性分だったが、心にも変化が出てきた。

結婚を機に、仕事が長期に及ぶ舞台活動は控え、「1回ちゃんと妊活」に入り、出産を終えれば、舞台へ-のプランもある。

「女の子がほしい! 宝塚へ? それは本人の意思で! でも、私がピンクとか、リボンやフリルが好きで、それを与え続けると、子供ってだいたい反発するから、もしかしたら(宝塚に)入りたくないかもしれないですよね。男の子なら…イケメンに育ってくれれば(笑い)。いや、おもろいかどっちかで」

古巣の宝塚では今、同期が花組、月組、星組でトップをはる。結婚相手が宝塚の舞台で振り付けを務めた縁もあり、同期からは「あの先生! みたいな反応がちょっとうれしかったです」。古巣も含めて、舞台業界は依然として、コロナ禍でも厳しい闘いが続く。

「突然公演がキャンセルもある。私は、いろんな人とテレビ電話して、つながっていました。いつでもどこでも、おしゃれもしていなくても、つながれる。普段忙しくても、逆にゆっくり話せたり。なんだかんだ言っても、1人じゃないって実感もできました」

仲間へ、スタッフへ、そして大事なファンへの感謝を胸に、小休止前の舞台へ臨む。【村上久美子】