2017年に米アカデミー賞外国語映画賞(現国際長編映画賞)を受賞した映画「セールスマン」に主演したイランのトップ女優タラネ・アリドゥスティ(38)が、反政府デモへの連帯感を示すため、ヒジャブを取った姿をSNSに投稿した。クルド語で「女性、人生、自由」と書かれた紙を手に、ロングヘアを披露している。

イランでは9月、ヒジャブから髪が少し出ていたことがきっかけで警察に拘束された女性マフサ・アミニさん(22)がその3日後に亡くなった事件を受け、イラン全域で抗議デモが7週にわたって続いている。

イランでもっとも成功した女優の1人で、インスタグラムに800万人を超えるフォロワーを持つアリドゥスティが、反政府デモのスローガンを手にヒジャブを取ったことは米CNNなど米メディアでも報じられている。

地元の人権運動家によると、少なくとも328人のデモ参加者が命を失い、1万4800人が拘束されているという。アリドゥスティは少し前の投稿で、「どんなことがあってもイランにとどまる」「権利を守るためにどんな代償も支払う」などと投稿し、デモ隊の弾圧で殺害された人々の家族を支援するため、女優としてのキャリアを中断する決意を示していた。

アリドゥスティは、2017年に当時の大統領だったトランプ氏によるイスラム圏からの入国規制に抗議するため、アカデミー賞授賞式をボイコットして話題になったことで知られる。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)