歌舞伎俳優尾上菊五郎の孫、女優寺島しのぶの長男、初代尾上眞秀(10)が2日、東京・歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」の昼の部「音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)」で初舞台を踏んだ。せりふ回しや立ち回りなど、堂々とした姿に観客は大きな拍手を送り門出を祝った。27日まで。
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「音羽屋!」「眞秀!」「眞秀くん大当たり!」などのかけ声と大きな拍手に包まれた。花道で見えをして引っ込むまで、拍手が続いた。これまで本名の寺嶋眞秀で何度も舞台に立っているが、初代尾上眞秀という役者の名前で舞台に立ったこの日が、歌舞伎役者の始まりだ。
立役と女形、2つの役柄を演じ分けたほか、踊り、立ち回りなど、見せ場が満載だった。登場の時から堂々としており、大きな声と明瞭なせりふは劇場の隅々にまで届いた。
眞秀演じる剣術の達人で若武者の岩見重太郎が狒々(ひひ)退治をする物語には、門出を思わせるせりふがちりばめられていた。戦いに向かう時、「役目を果たす覚悟はあるか」と問われた岩見が「はい!」「幼き身なればとて、まことの武士にごさりまする」と応じたり、菊五郎演じる戦の神に「なお武芸に励み本懐遂ぐるべし」と声をかけられ、岩見が「お言葉胸に命じます」と答える場面も。さらに、剣を門出の餞別(せんべつ)として授かるなど、さまざまなせりふやシチュエーションが眞秀の門出と重なるような物語だった。
共演陣も華やかで、叔父菊之助、尾上松緑、市川團十郎らが眞秀の門出を見守った。
4月に行った祝幕お披露目の会見では、菊五郎が「大きな声で、お客さまに元気を与えられるような舞台なら成功だと思います」と話していた。初舞台は眞秀自身も元気いっぱいで、観客も大喜びだった。【小林千穂】
◆尾上眞秀(おのえ・まほろ)2012年(平24)9月11日生まれ。17年5月歌舞伎座「魚屋宗五郎」の酒屋丁稚与吉で初お目見え。19年3月「盛綱陣屋」の小三郎、同4月「実盛物語」の太郎吉、22年7月「當世流小栗判官(とうりゅうおぐりはんがん)」など。ドラマやCMでも活躍し、NHK大河ドラマ「どうする家康」では徳川信康の幼少期を演じる。
◆團菊祭(だんきくさい) 明治期に活躍した名優2人、9代目市川團十郎と5代目尾上菊五郎をたたえて行われる歌舞伎座の吉例行事。1936年(昭11)の4~5月に行われたのが始まりで、成田屋、音羽屋にゆかりのある演目や祝祭感にあふれた演目が並ぶ。昼の部「若き日の信長」は、13年に亡くなった12代目團十郎さんの十年祭と銘打って上演される。
○…客席には母寺島しのぶ、フランス人アートディレクターの父ローラン・グナシアさんらの姿があった。終演後、寺島は「ホッとしました。お客さまの前でやるのが好きな子なんだなと思いました。新しいパワーをもらえるから好きなんでしょうね」と話し、千秋楽へ向け「今日が始まりなので、昇っていくしかない」と期待も語った。この日の眞秀の様子について「(緊張は)まったく。つとめて普通にしようとしていました」と強心臓ぶりも明かした。ほか、駐日フランス大使、祝幕の制作をサポートしたシャネル関係者も来場。



