福原遥(24)と水上恒司(24)が、映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」(成田洋一監督、12月8日公開)で、ダブル主演を務めることが14日、分かった。16年の出版後、TikTok(ティックトック)で話題を呼びシリーズ累計発行部数50万部と大ヒットした、汐見夏衛氏の同名小説の映画化作品。福原はヒロインを演じたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」以来、水上は「岡田健史」の芸名から本名で22年9月1日から活動を開始後、それぞれ初主演映画となる。福原は現代から戦時中の1945年(昭20)の日本にタイムスリップする女子高生・加納百合を、水上は百合が出会い、恋をする特攻隊員・佐久間彰を演じる。

2人の共演は、日本テレビ系で21年1月期に放送された「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」以来2度目となる。福原は「とてもストイックな方なので、ご一緒させていただけてうれしいですし、すごく安心感があります。撮影に入る前にたくさんお話をさせていただいて、役についていろいろと考えることができました」と水上への信頼を口にした。水上は「とても良い意味で、普通の女の子でした。今回の現場にいた福原遥さんはとても無邪気で、清涼感あふれ、この世の全てを愛しているような、まさに百合のようなお方だと思いました」と福原への深い思いを語った。

福原は原作について「まずは原作を読ませていただいて、とても感動してすてきな作品だなと本当に思いました。ぐっとくるものがありました」と印象を語った。その上で「戦争について学校で学んだことはあっても、分からない感じきれない思いをこの作品から感じることができました。『この時代の方々はいろいろな思いで生きていたんだな』と考えただけで胸が苦しくなります」と戦争についての思いを吐露した。

映画化については「この物語が2時間という映画になるということで、『どうなるんだろう』『自分にできるかな』という不安な気持ちも感じました。ですが原作が素晴らしいですし、戦争を題材にした作品ですので、しっかりとリアルに演じられるように頑張りました」と振り返った。演じた百合については「私が演じる百合が、戦争の時代にタイムスリップをして、彰という人に出会って初めての恋をして、愛というものを知ってどう成長していくのか、ぜひ見守っていただければと思います」と評した。

水上は、長崎県の母校・創成館高時代に、原爆投下直前の爆心地の家族を描いた創作劇「髪を梳かす八月」に出演したことを踏まえ「私自身が芝居に興味を持ったきっかけが高校演劇でした。その際に頂いた役が特攻隊員の古賀正一という青年でした」と語った。さらに「また、広島と長崎にも不思議な縁があり、彰が生きた時代には物心ついた時から関心がありました。私の会ったことのある親族や大事な人が戦争の犠牲者がいないため、私は戦争を冷静に見ることができると思っています」と続けた。

役どころについては「そんな私が今回彰という役を生きる意味は、私より下の世代に『戦争』というもの、日本がしてきたこと、世界の戦争の歴史を知るきっかけを与えるためだと思います」と自らが演じる意義を強調。「やはり、役者としてこの台本を、さらにどこまで大きくできるか、というワクワクに駆られました」と脚本を読んでの印象を振り返り「撮影の半ば、成田監督に『彰だけ別世界にいるよう』と言われ、ある程度作戦通りいったのかと思います。彰は人間ではない、自己が一部欠如した愛にあふれた妖怪のようなイメージですので」と演じた手応えも口にした。

撮影は4月1日にクランクインし、茨城県など関東近郊で行われ、5月4日にクランクアップし、10月に完成予定だ。福原は「すごく切なくて、でも本物の愛を感じられる作品になると思いますので、公開を楽しみに待っていてください」と呼びかけた。水上は「今作を見た後に勉強をし始めるキッカケになることを望んでいます。日本が受けた暴力も、日本が世界に与えた暴力も。若い世代に両側を知ることを望みます。百合と彰のようなけなげな人々を破壊するのが『戦争』だということを、今作を通じてお伝えできれば幸いです」と訴えた。

3月31日に「舞いあがれ!」の放送を終えたばかりの福原と、今秋、放送がスタートする「ブギウギ」への出演が決まっている水上による、フレッシュな”朝ドラタッグ”が、2年ぶりの共演を経たスクリーンで披露するであろう、成長した演技、姿に注目だ。現代に生きる女子高生がタイムスリップし、1945年の日本で特攻隊員と出会うというファンタジーながら、75年前も今も変わらない「命の大切さ」「相手をいとしく思う気持ち」という普遍的な思いの詰まった、感動の物語を、福原と水上が演技で表現し、世の中に伝えていく。

製作陣のコメントは、以下の通り。

▽原作の汐見夏衛氏 このたび「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の映画化が決定いたしました。撮影見学の際、スタッフの皆さまキャストの皆さまが試行錯誤しながらひとつひとつのシーンを作り上げていらっしゃる姿を目の当たりにして、こんなふうに大切に作っていただけて幸せだなと感激しました。これまで本作を応援してくださった皆さま、本当にありがとうございます。一緒に公開を楽しみにしていただけましたら幸いです。

▽成田洋一監督 人を愛することの自由を時代によって奪われた男と女。それでも抑えられない感情を恋と呼ぶのかもしれない。それは時空を超え、「覚悟」を激しく揺さぶる……脚本を書いてる時も、撮影している時も、幾度となくそのやるせなさに涙しました。若い人にこそ見ていただきたい映画です。

▽西麻美プロデューサー (福原はドラマ)「ゆるキャン△」や「3年A組-今から皆さんは、人質です-」を拝見してさまざまな役を演じつつも、常に凜(りん)とした真っすぐな瞳が印象的でした。百合は周囲にイライラした毎日を送りつつも、特攻隊員たちと触れ合う中で真っすぐに成長していくキャラクターです。そのキャラクターを福原さんなら演じ切れる、そう思いました。(水上は)彰役に関しては、まだ岡田健史さんというお名前で活躍されている頃から彼しかいないと思っていました。死を覚悟しているのに百合や周囲の人たちに優しくできる彰の懐の大きさ、そして瞳の奥に秘めた切なさをきっと水上さんなら表現してくれる、そう思いました。

◆「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」親や学校、全てにイライラして不満ばかりの女子高生・百合(福原遥)はある日、母親とケンカをして家出するが、目が覚めると、そこは1945年、戦時中の日本だった。偶然、通りかかった彰(水上恒司)に助けられ、その誠実さや優しさにどんどんひかれていくが、彰は特攻隊員で程なく命がけで戦地に飛ぶ運命だった。