北野武監督(76)6年ぶりの新作映画「首」(今秋公開)が23日(日本時間24日)フランスで開催中のカンヌ映画祭でプレミア上映され、上映後、同監督と俳優陣が取材に応じた。

劇中で織田信長を演じた加瀬亮(48)は「僕も何度も、いろいろな上映を見ていますけど、映画が始まる前から監督が、ものすごい熱気で迎えられるのも、素晴らしいことだと思いますし」と、今回の上映で感じた熱気が特別なものだったと語った。加瀬は、12年に最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品された日本・フランス合作映画「ライク・サムワン・イン・ラブ」の出演者として、カンヌ映画祭に参加した経験がある。

「ライク・サムワン・イン・ラブ」は、イランの世界的な巨匠アッバス・キアロスタミ監督が全編、日本国内で撮影し日本語で描いたことも話題となったが、結果的に同監督の遺作となったことでも知られる。同作をはじめ、海外作品への出演経験も豊富な加瀬だが「映画中のリアクションも、すごく良く、終わった後の拍手も、本当に熱気がこもっていたので、楽しんでいただけたんだと実感しました」と、観客の反応に手応えを口にした。

秀吉の軍師・黒田官兵衛を演じた浅野忠信(49)は「僕も今日(見るのが)2度目だったんですけど、また新たな発見というか、楽しめるポイントが、いっぱいあって」と、まず映画の感想を語った。そして「それで途中から僕も、お客さんと同じように笑って、家族と見ているような幸せな気持ちになれたので、それは、とても良かったです」と笑みを浮かべた。

浅野は、99年に北野監督とともに俳優として出演した大島渚監督の「御法度」が、カンヌ映画祭コンペティション部門に出品され、北野監督と一緒にレッドカーペットを歩いた。15年には、主演映画「岸辺の旅」(黒沢清監督)が、ある視点部門で監督賞、翌16年にも主演映画「淵に立つ」同部門審査員賞を受賞した際、カンヌ映画祭に参加しており、縁が深い。