弁護士の本村健太郎氏(57)が15日、読売テレビの情報番組「かんさい情報ネットten.」に出演。ダウンタウン松本人志(60)が、一般女性への性的行為強要疑惑を報じた週刊文春との間で行う意向の裁判について解説した。

所属の吉本興業は報道を完全否定した上で、法的措置を検討。松本からの「さまざまな記事と対峙(たいじ)して、裁判に注力したい」との申し入れを受け、松本の活動休止を発表した。一方で、文春は「一連の報道には十分に自信を持っている」などと全面的に争う姿勢を示している。

本村氏はまず、松本の活動休止について「『裁判に注力』との言葉が出てきましたが、松本さんの立場で裁判の準備とかのために時間を取られるから、仕事ができないということはない。弁護士さんにお願いすると思うので、全部弁護士さんがやって対峙(たいじ)しくれる。松本さんがやることは弁護士さんとの打ち合わせだけ。スケジュール的な問題もないはず」と説明した。

裁判では、松本が文春に慰謝料(損害賠償)の請求と謝罪広告を求める流れになる。1審では口頭弁論、証人尋問などが行われ、「和解勧告はあり得ない。判決まで1年くらいかかる」と予測。負けた方は控訴できるので、高裁、最高裁まで行くと「3年くらいはかかるだろう」と見通しを語った。

また、本村氏は松本が早い段階でX(旧ツイッター)に「事実無根なので闘いまーす」と投稿したり、吉本興業が「法的措置を取る」と発表したことについて、「心配なのは弁護士さんにちゃんと相談したのか。裁判をやるリスクを十分説明して納得してもらった上で、それでもやりますと方針を発表しないといけない。今回はもしかすると、そういう手続きを踏まずに、まず(裁判を)やるという結論を出してしまったのではないかと心配している」と危惧。「もし、弁護士さんに相談したのであれば、そういうことは今は言わないで、裁判を準備している間は黙っていてくださいとなると思う」と疑問を呈した。

名誉毀損(きそん)での裁判では、週刊誌による大相撲の八百長疑惑報道で名誉が毀損(きそん)されたとして、東京地裁が力士30人と日本相撲協会に4290万の支払いを命じた判決がある。本村氏は「週刊誌を名誉毀損(きそん)で訴えて、実際に判決が出た慰謝料の最高額がこれ。ただ、この額は力士30人と日本相撲協会の合計金額。個人が週刊誌を訴えて一番多かったのは1000万くらい。今回も1000万とか2000万円、それくらいの金額になる」。松本の活動休止の影響については「自分で決めたことですからね。週刊誌によって当然仕事を辞めなければならなかったという因果関係はありませんから、お金に入ってこないと思う」。

過去の判例では、週刊誌側が摘示された事実を真実だと信じることに相当の理由があれば、不法行為は成立しないとされている。

本村氏は「週刊誌側はまず、記事の内容が真実だと立証し、それで証明できれば終わり。証明できなくても、女性から十分に聞き取って『間違いない』と確信できる事情があれば、週刊誌側が勝訴する」と指摘。文春側が負けるケースとして、「第三者から聞いた話や、ずっと昔の証拠がない話を無理やり記事にした場合は負けてることがあるが、今回は被害者から話を聞いている。本人が証言すればかなり決定的な証拠ですから、松本さんは非常に不利。週刊誌側が負けるとすれば、女性が出てこなかったり、曖昧な証言をして信用性がゆらいだときに限る」と解説した。