ビートたけし(78)が7日に「たけしが認めた若手芸人 ビートたけし杯『お笑い日本一』」の審査員を務めた。若手芸人8組の漫才・コントを順に見ていく。前半の4組が終わった時点でコメントを求められると、こう言った。
「これほど笑わない劇場も珍しいな。多分、つまんねえんじゃねえの」
会場の空気が少し、締まった。そして続けた。「普通はネタ何本か用意しといて、つかみで失敗したらウケるネタに変えていく。決めたネタをそのまま最後までやってるから無理があるよな。お笑いの大会だから、ウケなきゃ変えるぐらいのフットワークがないとまずいと思うけどな。プロだったらね」
持ち時間は1組5分と長めに取ってあった。舞台上でその瞬間の「お客の状態」を感じ取り、対応する余地があったという助言だ。衣装や小道具ありきのコントの場合は難しいだろうが、とフォローも入れていた。昨今は観客もレベルの高い漫才を見慣れている。「今の方が深くて難しいネタをやっている。今日舞台に出た人も、我々より高度だと思いますけど」と理解を示した上で、愛のむちを振るった。
優勝に決めたのは「シティホテル3号室」と「ハマノとヘンミ」。「ウケてたのがこの2組だから」と選考理由はシンプルだった。結果的に見ると、この2組はネタ披露の順番が後だった。場が「あったまった」と言うこともできるが、冒頭の「これほど笑わない劇場も珍しいな」が観客に刺さり、後半4組の本気に正対したようにも見えた。
たけしはイベント終了後に振り返った。
「おれ昔、若いころ九州に行ったんだ。70歳過ぎた人に会ったら『タケちゃん、昔九州に来たろ。あの時、ウケんかったね』って言われて。すみませんって謝ったけど。たった1回しか行ってないとこで、一生言われんだね。そういう評判っていうのは、肝に銘じてやっとかないと」
どこに行っても一発勝負。舞台を降りて「すみません、もう1回やらせてください」とは言えない。1度の評価が次につながることもあれば、その逆もある。「お客の状態を感じろ」とは、自身も経験を踏まえての教えだった。
観客側もいろんな性格の人がいる。コンサートで盛り上がるのが苦手でも、内心は楽しんでいる、というパターンもある。お笑いも同様に、声を出して笑う性分ではないがおもしろいと思っている、という人もいる。楽しみ方はそれぞれでいい。その上で、いいものにはできるだけリアクションで返そう、という自戒にもなったイベントだった。【鎌田良美】



