23日に放送開始となったWOWOW「連続ドラマW シャドウワーク」(日曜午後10時)の完成報告会を取材した。

夫からのドメスティック・バイオレンス(DV)に絶望した女性たちが、生きるためにたどり着いた究極のシスターフッドを描くヒューマンミステリー。DVで人生を狂わされた主婦役の多部未華子(36)は、DVシーンについて「とにかく痛々しく」を意識しながら撮影したという。

出演者たちが順に役柄を語る中で、ひときわ言葉に熱がこもっていたのが寺島しのぶ(52)だった。寺島はDV被害者のシェルターであるシェアハウスを運営しながら、この家のあるルールをつかさどる昭江役。「この作品、なかなか問題作だと思っております。何か刺さる作品になったらいい」と語り出した。

昭江は住民たちの精神的支柱でもある。「シェアハウスに来ている人たちは、どこかしらに傷を持っている弱者。今この時代は性被害、動物虐待、幼児虐待、弱い者が強い者に踏みにじられてしまう。ストーカー被害もそうですけど、あやふやにされて結局なくなってしまうパターンの事件が本当に起きていますよね」と“弱い者”に寄り添う。今作を「弱者を強者が踏みつぶしそうになると、強者はどうなるのかねっていう、忠告になると思うんですね」と続けた。

劇中で主人公の紀子は、シェアハウスのあるルールに直面して苦悩する。寺島は「『お、怖いな』ってちょっとでも思っていただきたい。警察も、そんな泳がせてないで早く捕まえなさいよって、自分の役をやりながら思ってました」という。私は原作を読んだのだが、本当にぞっとした。

また寺島は、自分に「ギブ・アンド・テイク」をルールとして課しているとも言っていた。「テイク・テイク・テイクもダメだし、ギブ・ギブ・ギブもいけない。やられたらやり返すってことではないですけど、もらったら何かを返す。物とかお金とかではなくて、人間との交流でそういうふうになれば、平和な風が流れるんじゃないかな」。

“お返し”の方法は違えど、昭江に通ずる芯を感じた。会見中、寺島は「よくこんなに適材適所で集めたなって、キャスティングの方にすごく感心した。キャラクターと皆さんが持っている部分が近しいんですよね。なんでこんなところまで分かってキャスティングしてるんだろう」と、共演陣の配役に驚いていた。昭江も例に漏れず、ぴったりだ。

環境次第で誰だって弱者になり得るし、強者側として人を傷つけているかもしれない。エンタメとして受け取りつつ、完全な人ごとではなく自分事として引き寄せながら、全5話を楽しみにしたい。【鎌田良美】