北村匠海(28)の主演映画「しびれ」(内山拓也監督、26年公開)が、世界3大映画祭の1つ、ベルリン映画祭(ドイツ)パノラマ部門への出品が決まった。同映画祭事務局が17日、発表した。北村は「ベルリン国際映画祭パノラマ部門に『しびれ』が選出されました。歴史ある映画祭で『しびれ』を評価していただけて本当にうれしく思います。僕たちの愛情が少しでも届くことを願っています」とコメントした。

「しびれ」は「佐々木、イン、マイマイン」(20年)、「若き見知らぬ者たち」(24年)の内山拓也監督(33)が故郷・新潟を舞台に製作。自分の居場所を探す孤独な少年が、息をのむような大きな愛を知るまでの20年間を描いた。同監督が「佐々木、イン、マイマイン」よりも前から執筆を続けてきた構想十余年の、オリジナル脚本による自伝的作品。

北村は、青年期の大地を演じる。どこにも居場所がない孤独な少年期をくぐり抜け、自分のもとを離れた父への静かな怒り、女手一つで自分を育てた母に対し、憎しみと愛、相反する感情に揺れる心の内を演じた。水商売で日銭を稼ぎ、世間的には育児放棄と呼ばれるような生活を送るものの、細部に息子への確かな慈愛がにじむ繊細な母亜樹を宮沢りえ(52)が演じる。幼少期の大地が言葉を失うきっかけとなる暴君のような姿から一転、時が経ち、かつての威厳が消え、悲哀に満ちた余生を送る大地の父・大原を永瀬正敏(59)が演じる。

11月に開催された第26回東京フィルメックスでは、日本作品で唯一、コンペティション部門に選出され、マティアス・ピニェイロ監督ら審査員から「静寂と変化、柔らかと硬さなどが内包され、バランス感覚に満ちた映画である」と評され、審査員特別賞を受賞した。

内山監督は「雪が降り、息を白くする2月のベルリンは、冬を実感する光景で、本作にとってまさにぴったりの舞台に選ばれたのではないかと感じています。映画を祝福するようなそんな情景を、目に焼きつけたいと思います」とコメントした。「すべてのスタッフ、キャスト、携わってくれた方々、作品をベルリンの地へ運んでいただき心から感謝しています。『しびれ』の静寂とぬくもり、呼吸とまなざし、そして生きる喜びが、海を超えて、誰かの心をすこしでも軽くできますよう願っています」と期待した。

ベルリン映画祭出品を受けて、新ビジュアルも完成。北村演じる主人公大地と宮沢演じる母亜樹が2人、柔らかな風に包まれながら、流れる雲がひとつに溶けていくように、そっと肩を寄せ合う姿が切り取られた。居場所を探し続ける人生を歩んできた大地が、母の温もりと匂いを感じながらこちらを見据えるまなざしには、幸福の実感が宿り、かすかな希望を感じさせるビジュアルとなった。