歌手辰巳ゆうと(28)の「一の谷」が先日、USENの「今週のリクエスト 演歌」(1月28日集計)で1位となった。
同曲は辰巳のアルバム「だけ、だけ、だけ、だけ、演歌だけ!~辰巳ゆうと サードアルバム~」(25年12月17日発売)の収録曲。平家物語の名場面で知られる「一の谷の合戦」を描いた、セリフ入りのオリジナル演歌である。
売上枚数や配信回数などによるヒットチャートと、リクエストチャートは性質が違う。それでも、アルバム収録曲が発売から1カ月以上たっての1位獲得は異例だ。
演歌・歌謡曲系では最近、オリジナルアルバムの制作が減っている。
配信サービスやストリーミングの普及で、音楽を聴く環境が激変した。レコード店に足を運んで、十数曲入りのアルバムを購入しなくとも、スマホさえあればいつでもどこでも何曲でも楽しめる時代だ。
かつてポップスも演歌もアルバムから、大ヒット曲が生まれた。
石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」は、アルバム「365日恋もよう」(76年)の収録曲だった。1月から12月までの歌を収録したアルバムで、「津軽海峡-」は12月の歌だった。評判を呼びシングルカットされ、いまや石川の代表曲となった。
中島みゆきの「糸」は、アルバム「EAST ASIA」(92年)の収録曲だった。98年にTBS系ドラマ「聖者の行進」の主題歌となり、「命の別名」との両A面シングルとして発売された。今ではカラオケの定番曲として、各世代の人々に歌われている。
SMAPの「世界に一つだけの花」は、アルバム「SMAP 015/Drink!Smap!」(02年)の収録曲。翌03年3月に35枚目のシングルとして発売され、国民的なヒット曲となった。
かぐや姫の「神田川」は、アルバム「かぐや姫さあど」(73年)の収録曲。南こうせつが自分のラジオ深夜番組で流したところ、リスナーからリクエストが殺到。2カ月後にシングルカットされ、不朽の名曲となった。
山下達郎の「クリスマス・イブ」は、アルバム「MELODIES」(83年)の収録曲だった。88年にJR東海のCMソングとして流れ、知名度が急上昇。昨年、40年連続で「オリコン週間シングルランキング」のTOP100入りを果たし、ギネス世界記録に認定された。
太田裕美の「木綿のハンカチーフ」は、アルバム「心が風邪をひいた日」(75年)の収録曲だった。松本隆作詞、筒美京平作曲で、作品の完成度が高く、わずか16日後にシングルで発売された。
アルバムを聴いて、「この歌、いいな」と発見するのも、音楽を聴く楽しみの1つだと思う。【笹森文彦】



