東京都大田区の自宅マンションで同居していた男性をナイフで刺して死亡させたとして、傷害致死罪に問われた元モデルの会社役員木村衣里被告(32)は11日、東京地裁(秋葉康弘裁判長)の初公判で「記憶がなく分からないが、自分の意思で大切な彼を傷つけることは絶対にない」と起訴事実を否認した。

 弁護人も「仮に刺していたとしても責任能力がなく無罪」と主張した。

 検察側は「SMプレーの行き過ぎによるもので、被告の意思に基づく行為だった」などとし、完全責任能力があると指摘した。

 木村被告は殺人容疑で逮捕された後、「記憶がない」と供述。東京地検は精神鑑定の結果、刑事責任能力に問題はないと判断したが、「殺意の認定が困難」として傷害致死罪で起訴していた。

 検察側の冒頭陳述によると、2人は10年以上前に知り合い交際。木村被告は1月26日朝、自室で無職藤家英樹さん(当時53)の背中を果物ナイフで1回刺し、死亡させた、としている。

 木村被告は以前、モデル活動をしていたほか、女優としてビデオ専用映画に出演していた。