「月がとっても青いから」の大ヒットで知られる歌手菅原都々子(87)の米寿を祝うコンサートが14日、東京・渋谷区の古賀政男記念館のホールで行われた。

 80歳を機に一線を引いた菅原だが、その後も老人ホームや福祉施設でのボランティア活動を継続。第1回NHK「紅白歌合戦」(51年)のトップバッターとして歌った「あこがれの住む街」など12曲を披露した。

 「88歳(米寿)88歳と言われると早くいかなければいけないような気になります」と冗談めかしながらしきりに照れ、曲順を間違えるご愛嬌(あいきょう)もあったが、デビューから77年あまりを経ても、持ち前の美声は健在。所属テイチクの歴代3人の社長を始め、歌手田辺靖雄、畠山みどり、脚本家のジェームス三木氏らVIPばかりの客席から温かい拍手を受けた。会場は養父であり、師匠であった古賀政男氏邸跡に建設されたもので、菅原は「ここで(歌手として)生まれ、ここで最後に歌えたことに感無量です」としみじみ話した。

 終演後は「震えるようにうれしかった。声はたまにカラオケに行って維持しています。『風雪ながれ旅』とか男の方の歌をよく歌います」。今回のコンサートを公の場で歌う最後と位置づけているが、「私から歌を取ったら死んでしまうので、今後もボランティアとしては歌っていきたい」と語った。