アイドル並みのルックスと声量豊かな歌唱力を兼ね備えた演歌歌手桜井くみ子(27)が、2日に「あばれ船」でデビューする。海に生きる男のひたむきな生きざまを歌い上げ、聞き手の心にズンズンと響いてくるド迫力を持つ王道演歌だが、ビジュアルはかわいらしい。そのギャップが魅力のようだ。

 歌好きな両親の影響で、4歳からテレビのカラオケ大会などに出演。歌手になりたい気持ちを抑えられず、18歳で大阪の短大を中退して単身上京した。すぐに歌唱レッスンに定評のある作曲家藤竜之介氏の内弟子になり、厳しいボイストレーニング、着物の着付けなど演歌修業をみっちりと重ねてきた。

 だが、演歌歌手のオーディションは数少ない。6年前に日本クラウンの創立40周年新人オーディションに挑戦、決勝大会には残ったが、デビューには至らなかった。上京3年目に「あきらめて戻っておいで」と両親から懇願されたが「自分で1度決めたことは曲げたくない」と初心を貫いた。頑固一徹が花開き、ついに昨年の日本クラウン創立45周年新人オーディションでデビューをつかんだ。

 性格の自己分析も「頑固で負けず嫌い」だという。歌詞にある「負けてたまるかよ」「ここは勝負だぜ」というフレーズが、「私の今の心境と性格そのまんまです」と話す。曲は作詞のたかたかし氏が、桜井の声質、声量、人柄などを知った上で書き下ろした。

 根性も座っている。自分のことを「雑草」と呼び、「だから簡単には倒れません」と演歌1本で歩むことに迷いはない。10代でデビューするアイドル系歌手が多い中、27歳でのスタートラインは遅咲き。「確かに遅いけど、出るタイミングは人によって違う。私は私でいいと思います」。9年間デビューを待った“桜”井がいよいよ花開く。