ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(9月7日初日、東京・赤坂ACTシアター)のジュリエット役でデビューする昆夏美(20)が来年のミュージカル「ハムレット」(2月1日初日、東京・日比谷シアタークリエ)のオフィーリア役に抜てきされたことが27日、分かった。4月まで普通の女子大生だったが、オーディションでシェークスピアの名作の2大ヒロインを勝ち取った。昆は「歌っている時が幸せ。本番も楽しみたい」と意気込んでいる。

 まさにシンデレラストーリーだ。4月まではミュージカル志望の普通の音大生だった。5月に東宝芸能のオーディションを受けて合格。6月に「ロミオ&ジュリエット」のオーディションを受けたところ、演出の小池修一郎氏の目に留まり、ロミオ役の城田優、山崎育三郎の相手役ジュリエットでのデビューが決まった。さらに来年上演の「ハムレット」のオーディションでも新国立劇場の芸術監督だった演出の栗山民也氏が歌声を高く評価。ハムレット役の井上芳雄の相手役オフィーリアに抜てきされた。

 シェークスピアの名作で、若手女優なら誰もが憧れるジュリエット、オフィーリアの2大ヒロイン役。昆は「決まった時はうれしさよりも驚きが先だったけれど、今はなんて幸せなんだろうと思います。オーディションは緊張せずに楽しんでやれました。いつもポジティブで、何でも前向きにやろうと思ってますから。不安もあるけれど、本番が楽しみです」。

 小学6年の時に児童ミュージカル劇団に入り、数多くの主役を演じた。ミュージカル女優を夢見て、中学生の時に「高校に入ったらプロデビュー」との人生設計を思い描いた。大学2年で初めて挑戦したオーディションでデビューの扉を自力でこじ開けた。「城田さん、山崎さん、井上さん、みんな優しい。歌が大好きで、歌っていられるだけで幸せ。でも、これからが私のスタート。初心を忘れない女優でいたい」。

 11月には渋谷の小劇場「シブゲキ!」の舞台「有毒少年」に初主演することも決まった。初のストレートプレーで、演技力でも注目される。演じたい役は「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ。大きな輝きを秘めた原石のような女優の今後が楽しみだ。【林尚之】

 ◆昆夏美(こん・なつみ)1991年(平3)6月28日、東京生まれ。洗足学園音大ミュージカルコース2年在学中。12歳から中学3年まで「劇団大きな夢」に所属。高校3年で東京国際フォーラム音楽劇「赤毛のアン」のアン役で。家族は両親、妹。身長155センチ。血液型O。