長渕剛(57)がこのほど、NHK音楽番組「SONGS」の収録を行った。300回超の歴史を誇る同番組で、ライブと、ファンと語らう「トークセッション」を初めて一体化。本編30分(12日午後11時)だけでなく、スペシャル版60分(18日深夜0時10分)も放送する異例の特番態勢で、熱気あふれる歌と言葉による「長渕ワールド」を伝える。

 夢に向かって頑張っている人を応援したい。ここ数年、長渕が抱えるテーマを知ったNHKが、熱いパフォーマーに最高の舞台を用意した。ファン300人を集めてのスタジオでのライブとトークセッションは、07年に始まった「SONGS」で初。前編後編の2部構成による総合での放送はウルフルズが4年半ぶりに活動再開した特集以来、2度目。12日放送分で同番組は304回目となる。

 90年の大みそか、NHK紅白歌合戦に初出場した際、ベルリンからの生中継中「こっちはタコばっかり」と発言。崩壊したベルリンの壁の前で歌唱しようと必死にもがき、実現できなかったもどかしさから口をついて出た言葉だったが、当時を振り返りながら「今のNHKは最高です!」。最高の舞台には「最高」の言葉の賛辞で返した。

 ステージはいつも通り、リハーサルから全力投球。トークセッション進行担当のモデル冨永愛(31)も「心が震えた」と吐露したほど。300人のファンは全員が最初からオールスタンディング。「つよしっ」コールで主人公をステージに迎えると、長渕も熱気に応え、最新シングル曲「走る」(6月11日発売)まで一気に歌いきった。

 トークセッションでは、参加者から事前に集めたコメントを元にして4人を指名。19歳のプロボクサー男性には、長渕が「10代で目指した夢や憧れは将来のエネルギーになる。おれと一緒に頑張ろう」。心の支えになったというシングル「Myself」(90年)の弾き語りで激励した。福島の看護師女性(37)が「福島の子どもたちに何ができるか悩んでいる」と打ち明けると、亡き母の思い出を振り返りながら「HOLD

 YOUR

 LAST

 CHANCE」(84年)の歌唱でエール。冨永は「長渕さんの曲は耳から入って心に突き刺さる。血肉になる」とファンの思いを涙ながらに代弁した。

 長渕は収録後「ライブの熱気をテレビを見ている人にも届けたい。トークセッションはまっすぐに言葉と歌を放った。また1歩前に進むことができる収録になった」と納得の表情を見せた。【松本久】