群馬の地元紙、上毛新聞から「連赤に問う」の本が贈られてきた。連赤とは連合赤軍。今年は彼らが引き起こしたあさま山荘事件や、群馬県の榛名山や妙義山から男女12人の遺体が見つかったリンチ殺人事件から50年。私も現地を取材して5月、このコラムに「組織はだれひとり幸せにできなかった」と書かせてもらった。

その節目に地元、上毛新聞の記者が刑期を終えた赤軍のメンバーや学者を訪ねて改めて事件を掘り起こし、記事にしたものをこうして1冊の本にまとめた。

だけど取材記者は40歳、39歳、33歳。事件を知るどころか生まれてもいなかった。だが、むしろ私はこうした記者のバトンリレーに意義を感じ、本書の巻末インタビューで「風化させないことこそがメディアの責務」と訴えさせてもらった。

その取材記者のひとりは、本書のあとがきで「連合赤軍事件を肯定的に受け止めることは、未来永劫(えいごう)ない」としつつも時代背景に迫り、「戦後最高の経済状況を謳歌(おうか)していた当時の日本社会は、その虚を突かれたと言えないか」と書く。

それから50年。低賃金に物価高、極端な円安。戦後最悪の経済状況に虚(うつろ)な思いでいるところを、私たちの国は、いまさまざまな問題が露呈している宗教団体に突かれたと言えないか。

理想を掲げて集った組織が、最後はその組織を存続させるがために粛清を繰り返し、自壊してしまった連合赤軍。事件が残したものは国という巨大な組織を含め、あらゆる組織が内に持つ危うさではなかったか。

いま苦境にあえぐこの国家と深く関わったあの方の国葬は、怒声渦巻くなか、いよいよ明日執り行われる。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。