これは「奮闘」というより、「格闘」であり、「確執」の歴史なのだ。そんなことを考えていたら、2時間54分はあっという間だった。

日本テレビ5日放送の番組を、少し長くなるが新聞のテレビ欄のまま紹介する。

「開局70年スペシャルドラマ“テレビ報道記者”~ニュースをつないだ女たち…ニュースの裏側で奮闘し映像と言葉で伝えた女性記者たち…記者ら80人を取材し描くヒューマンドラマ」

オウム事件からコロナ禍まで。4世代にわたる女性記者たちには、女性初の事件記者、女性初の警視庁キャップ、女性初の社会部長…。全部に「初」と「女性だけど」「女性なのに」がついてまわる。

若い世代はコロナによる保育園の突然の休園にうろたえ、上の世代は親の介護に頭を抱える。

ライバル局だったが、長年テレビの夕方ニュースに関わってきた私は、番組が終わるなり、保育園のお迎えに駆け出す女性記者を毎日のように見てきた。そのころ男性デスクが言った「彼女たちは、後に続く女性記者のためにも短い時間に人の倍は働いて帰りますよ」という言葉がいまも耳に残っている。

局の情報番組をめぐる取材先とのトラブル。局内部署間の確執、軋轢(あつれき)。事件の関係者から浴びせられる「人の不幸で飯を食ってるのか」という罵声。「なんのために、誰のために、なんでこうまでして…」。

だが、女性のデスクが若い女性記者に静かに語りかける。

「テレビを頼りに思ってくれている人にまで必要な情報を届けなかったら、本当に終わっちゃうよ」

テレビに限らず、全てのメディアに向けられた言葉と受け止めた。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。