2022年度に60歳で定年退職した国家公務員のうち、5人に1人は常に家計が赤字で生活苦-。こんな調査結果を人事院が4日までにまとめた。多くは定年後も働き続けるが、低下した給与に不満を抱えている。退職前からもっと年金や投資に関心を持てば良かったとの後悔も強く、老後の備えの大切さを示唆している。

調査は退職後の生活状況を把握するため、3年に1度実施する。今回は、各省庁の出先機関などを含む一般職5233人が回答した。

調査結果によると、退職後の家計を「常に赤字で生活が苦しい」としたのは18・2%。「時々赤字」23・3%を合わせると41・5%で、多くは退職手当や預貯金の取り崩しで補っている。最多は「ゆとりはないが赤字でもない」で38・8%。

全世帯平均では毎月2万1000円の黒字。平均月収は37万円で「本人の給与・事業収入」が柱となっている。平均支出は34万9000円。食料、税金、社会保険料のトップ3が約半分を占める。24・3%は定年後も自宅のローン返済を続けていた。

定年後の就業率は87・6%で、多くは国の機関への再任用だった。再任用後の給与に「不満」「やや不満」は計59・4%。人事院の担当者は「再任用は役職が低くなり給与水準も下がる。仕事が同じだと特に不満を感じがちだ」としている。

懐事情や社会的な投資への関心を反映してか、定年前にもっと知っておけば良かった情報(複数回答)は、年金・保険51・6%、資産運用44・6%、税金・相続26・3%が上位を占めた。(共同)