能登半島地震で大きな被害が出た石川県輪島市で8日、市立小中学校の入学式が開かれた。校舎が被災するなどしたため、鳳至(ふげし)小や河井小など6小学校は輪島消防署で合同開催。県立高の入学式も行われたが、避難などで地元を離れた子どもも多く、生徒が減少した学校もあった。

新小学1年生たちは、消防署2階のホールで名前を呼ばれると「はい」と元気よく返事。鳳至小の山岸多鶴子校長は「怖い思いをしましたね。周りにたくさんの友達がいる。楽しく元気に過ごしていきましょう」と優しく呼びかけた。

鳳至小に入学した輪島市の酒井稀冬(まと)君(6)は「勉強を頑張りたい」と話し、父親の自営業透さん(35)は「入学式をしてもらえるだけでありがたい。6年間で輪島の様子も変わっていくと思うので、自分の目で見ていってほしい」と願った。

輪島市の門前東小の体育館では、門前西小との合同入学式が行われた。真新しい制服に身を包んだ新入生が上級生に手を引かれ、はにかみながら入場。泣いて保護者の元を離れない児童もいた。

1923年に創立した輪島市の輪島高には昨年より14人少ない76人が入学し、平野敏校長が式辞で「101年間で最も少ない」と説明。同校を選んだ新入生と保護者に感謝を述べた後、「未来を生きるために必要な力を3年間で学んでほしい」と語りかけた。

珠洲市の飯田高では地震後在校生が20人以上転校するなどし、新入生は例年から半減し51人だった。自宅が損壊し親戚の家に避難する同校1年の知家日菜乃さん(15)は「環境が変わって不安だった。ボランティアに参加して、地域に貢献したい」と意気込んだ。

輪島市内では市立門前中も食堂の一角で入学式を行い、新1年生7人が制服の胸元に花のコサージュをつけて入場。新入生代表の中田洸太郎さん(12)が「困難の真っただ中だが、多くの支援があり入学の日を迎えられた。感謝の気持ちを忘れず、学校生活を大切に過ごしたい」と誓った。(共同)