日米両政府は、北朝鮮や中国、ロシアが開発を進める極超音速兵器を迎撃するための新型ミサイルの共同開発費が総額30億ドル(約4600億円)を超えるとの推計をまとめた。日本は10億ドルを拠出する。米国防総省ミサイル防衛局が2日、明らかにした。2030年代半ばの完成を目指している。

極超音速兵器はマッハ5(音速の5倍)以上で飛行するため迎撃が困難で、対応が急務になっている。新型ミサイルの日米共同開発は改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」以来で2例目。昨年8月の首脳会談で合意した。日米は、推進装置や耐熱などの技術を持ち寄って開発を進める。

新型ミサイルが対象にするのは、ロケットで打ち上げられた後、一定の高度で弾頭部分が分離して滑空しながら目標へ向かう兵器。滑空段階での迎撃を想定する。着弾直前で撃ち落とす従来型との二段構えで対処能力を向上させる。

米軍は探知や追尾の能力を向上させるため、複数の小型衛星で高精度の捕捉を図る「衛星コンステレーション」と呼ばれるシステムを構築中。新型ミサイルは米海軍や海上自衛隊のイージス艦に搭載し、このシステムを利用する方針だ。

極超音速兵器は各国が開発を競っている。中国やロシアは既に配備しており、北朝鮮も実験を繰り返している。(共同)