10日実施の300議席を争う韓国総選挙は11日午前(日本時間同)、開票が終了し全議席が確定した。KBSテレビによると、革新系最大野党「共に民主党」と比例代表向けの系列政党が、半数を大幅に超える175議席を獲得。尹錫悦(ユンソンニョル)政権の保守系与党「国民の力」と系列政党は108議席で惨敗した。任期を3年残す尹大統領の求心力低下は必至だ。

反政権で共に民主党と手を組む構えの革新系新党「祖国革新党」も12議席を確保した。野党側は大統領が拒否権を行使した法案の再可決などが可能となる200議席には達しないが、単独で法案を迅速に採決できる180議席以上となる。尹氏は厳しい政権運営を迫られ、改善が続く日韓関係に影響を及ぼす可能性もある。

大統領府によると、尹氏は11日、選挙結果を受け「国民の意思を謙虚に受け止め国政を刷新する」と述べた。国民の力トップの韓東勲(ハンドンフン)非常対策委員長は記者会見し、引責辞任を表明。韓悳洙(ハンドクス)首相や大統領府高官らも一斉に辞意を明らかにした。総選挙では、尹政権で初代外相を務め、日韓関係改善にも尽力した朴振(パクチン)氏も落選した。

系列政党を含めた改選前議席は、国民の力が114の一方、共に民主党は156だった。韓国国会の解散はなく、尹政権は5年間の任期全てで政権と議会がねじれ状態となる。

尹氏の家族の不正疑惑や身びいきな人事などに対する国民の不満が積もっていた中、食料品の物価高騰が政権与党に不利に働いたとみられる。野党側は選挙戦で「政権審判」を強く訴えた。

共に民主党の李在明(イジェミョン)代表は11日、党の会合で「総選挙の結果は民主党でなく、国民の勝利だ」と述べた。

中央選挙管理委員会によると暫定投票率は67・0%で、1996年の総選挙以降で最高となった。(共同)